タイトル | 乳牛ふん尿の処理・利用過程における大腸菌の動態と低減技術 |
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担当機関 | 道畜試 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
阿部英則 田村 忠 渡部 敢 湊 啓子 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 高水分固形状ふん尿やスラリー中の大腸菌は数ヶ月の貯留期間中に概ね検出され なくなる。スラリー中の大腸菌は圃場還元(5t/10a)後の土壌からは 3~5 ヶ月で検出されな くなる。また、消石灰の添加(固形状ふん尿 2%,スラリー0.5~0.8%)により大腸菌の殺菌が できる。 |
キーワード | スラリー、大腸菌、家畜ふん尿 |
背景・ねらい | 牛のふん尿を介した病原性大腸菌の拡散が懸念されている。牛ふん中の大腸菌は、堆肥 化処理やスラリーの曝気処理過程で死滅することが知られているが、十分な品温上昇の望 めない高水分固形状ふん尿やスラリーの貯留過程での消長、圃場還元後の動態、ならびに 熱以外の殺菌方法に関する知見は少ない。本試験では一般大腸菌を指標に、それらについ て検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1.高水分固形状ふん尿やスラリー中の大腸菌は貯留中(一括投入・搬出なし)に減少し、 温暖期では 3~4 ヶ月で検出されなくなり(図 1,2)、寒冷期でも 5~6 ヶ月で大幅に減少す る。高水分固形状ふん尿からは多量の排汁(最大で堆積重量の 20%)が発生し、堆積初期の 排汁は高密度(105 CFU/ml)の大腸菌を含む。 2.スラリー中の大腸菌は圃場還元後の土壌中では 3~5 ヶ月で概ね検出されなくなるが、 多量に施用すると(10~20t/10a)やや長期間生残する(図 3)。その間、下層土(40~50cm 深) および牧草体(スラリー5t/10a を表面施用後 2~4 週)より大腸菌が検出される場合がある。 3.消石灰の添加によりふん尿中大腸菌を速やかに殺菌することができる。添加量は高水 分固形状ふん尿では 2%(図 4)、スラリーでは 0.5~0.8%。 4.バーンクリーナ上に設置して牛舎から搬出されるふん尿上に粒状消石灰を添加する装 置を作成した。 |
成果の活用面・留意点 | 1.病原性大腸菌の拡散防止のための予防的措置として利用できる。 2.ふん尿処理・利用場面からの病原性大腸菌の拡散を防止するためには以下の点に留意 する。1ふん尿・排汁は漏らさず管理する。2堆肥化やスラリーの曝気処理、長期貯留等 により大腸菌の低減をはかる。3過剰量の散布を避ける。4大雨の前の散布は避ける。 3.消石灰の添加による殺菌は緊急時対応の技術とする。 |
カテゴリ | くり 乳牛 |