タイトル | イネいもち病の早期初発を防ぐための伝染源対策 |
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担当機関 | 上川農試 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
小倉玲奈 西脇由恵 竹内徹 白井佳代 |
発行年度 | 2003 |
要約 | DNA フィンガープリント法による解析から、本田でのいもち病の初発は、種子更新と消毒、育苗ハウス内外での環境衛生および補植用取置苗の早期除去によって遅延 し、多発生は抑止できる。 |
キーワード | イネ、いもち病、初発、塩水選、種子消毒 |
背景・ねらい | いもち病の発生は、種子やわら等を伝染源として、苗床感染した保菌苗の本田への持ち 込みにより発生が早まることが指摘されている。DNA フィンガープリント法を用いて伝 染源から本田へのいもち病菌の行動追跡を行うことによって、早期初発による多発生を防 ぐための種子対策および環境衛生を主体とした圃場管理による伝染源対策を明らかにす る。 |
成果の内容・特徴 | 1.いもち病多発生事例の要因解析を行った結果、保菌種子あるいは罹病籾殻を伝染源と なる苗床感染による保菌苗が本田に持ち込まれて、多発生につながることが明らかにな った。 2.DNA フィンガープリント法によりいもち病菌を追跡した結果、以下のことが分かっ た。 育苗ハウスに籾殻を放置したり、保菌種子を利用すると、保菌苗の持ち込みにより本 田および補植用取置苗の初発が早まり、多発生につながる(図1)。 3.採種圃産種子は年次および地域により保菌率に違いが認められるが、全体的に低い傾 向にある。一方、自家採種種子は採種圃産に比較して保菌率が高い(図2)。 4.いもち病菌の玄米への感染時期は、出穂期から成熟期までの登熟全期間にわたり、病 穂率が高くなると保菌率も上昇する。玄米に感染した種子では、塩水選による選別や現 行の基幹薬剤を用いた種子消毒によって完全に保菌種子を除去することは困難である (表1)。 5.以上のことから、本病の早期発病を防ぐためには以下に示す対策が重要である。a) 種子更新を毎年行い、自家採種種子は使用しない、b)種子消毒は現行通り、徹底する、c) 育苗ハウス内およびその周辺では、籾殻やわらは放置したり、利用しない、d)補植用 取置苗は早期に除去する。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本成果は、種子準備から本田への移植までの対策に活用する。 -1- |
カテゴリ | 育苗 いもち病 自家採種 種子消毒 圃場管理 薬剤 |