タイトル | 齧歯類(ラット・マウス)の皮膚を用いて炎症の強さを迅速・高感度に測る |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
後藤真生 石川祐子 八巻幸二(現東北農研セ) |
発行年度 | 2003 |
要約 | 蛍光色素(FITC)でラベルしたアルブミンを用いてラットの皮膚の炎症状態を血管透過性の 亢進を指標にして測定する簡易な方法である。 |
キーワード | 炎症、血管透過性、ラット、蛍光プレートリーダー |
背景・ねらい | 食品のアレルギー・炎症の抑制効果を明らかにするにあたり、炎症によって引き起こされる血漿成分の 血管外漏出を測定し、血管透過性の多寡を検討することは効果的な手法である。 しかし、これまで血管透過性の測定に使用されてきた染色色素を用いる方法は、色素を皮膚からアルカ リ加水分解により抽出し、中和した後に比色するという煩雑な操作が必要であり、感度も低い。そこで、 高感度かつ迅速に測定ができ、さらには有害な物質の使用を最低限に抑えた測定方法の開発を目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1.この血管透過性測定方法は,蛍光色素である FITC(フルオロセインイソチオシアネート)でラベルし た牛血清アルブミンをラットの尾静脈に投与し、血漿成分の漏出の指標として蛍光プレートリーダー で測定するものである(図2)。 2.従来法で用いていた変異原性を有する染色色素(ダイレクトブルー)に代わり、蛍光ラベルしたアル ブミンを用いることから、安全かつ感度が高い。 3.色素の抽出操作(アルカリ加水分解およびその中和)が不要で、皮膚の光透過性を高めるために用い る有機溶媒は極少量で済む。 4.多検体を同時に測定できる蛍光プレートリーダーを用いることにより、簡易迅速な測定ができる。 5.起炎物質としてヒスタミンを皮内投与し、本法により血清漏出量を測定した。図1に示すように、起 炎物質の量に応じ、血清漏出量が増加することから、血管透過性の測定が可能である。なお、本法に おける検出限界はヒスタミン 200ng/site(ラット)、50ng/site(マウス)であり、それぞれ、10μg/siteおよび 1.25μg/site まで容量依存的な漏出量の増加が確認されている。 |
成果の活用面・留意点 | 本手法を用いた測定においては、24well プレートの測定が可能な、蛍光プレートリーダーが必要であ る。尾静脈への蛍光色素の投与および起炎剤の皮内接種は(とくにマウスにおいて)、熟練を必要とする。 |
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