タイトル | 大豆ホエー熱可溶性タンパク質の凍結変性保護効果 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
門間美千子 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 大豆から分画調製したホエー熱可溶性タンパク質は牛血清アルブミンと同程度の凍結変性保護活性をもち、その主要成分はデハイドリンである。 |
キーワード | 凍結変性保護タンパク質、大豆ホエー、デハイドリン |
背景・ねらい | 大豆には、β-アミラーゼやレクチン等の様々な活性をもつタンパク質が存在し、その多くはホエー画 分に含まれる。私たちはこれまでに、ホエータンパク質のひとつとしてデハイドリン(グループ 2LEA タン パク質)を見出し、その特性を明らかにしてきた。デハイドリンは凍結や乾燥から組織を保護する働きが あるとされ、食品の品質保持等への応用が期待される。本課題では、大豆タンパク質からデハイドリンを 効率的に単離する方法を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1.大豆粉末から酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)によりホエータンパク質を抽出し、これを沸騰水中で 10 分間加熱、遠心分離し、ホエー熱可溶性画分を得た。ホエー画分では、大豆の主要タンパク質である グリシニンとβコングリシニンが等電点沈殿により除去され、酵素類やトリプシンインヒビター等が 主成分となる。ホエー熱可溶性タンパク質画分では、26kDa デハイドリンが主要タンパク質として検 出され、その他にプロテアーゼインヒビターやいくつかの未同定の耐熱性タンパク質が含まれる(図 1)。 2.凍結保護作用の指標とされる、ウサギ筋由来乳酸脱水素酵素の凍結融解失活に対する保護活性を測定 した(図2)。ホエー熱可溶性タンパク質の CP50 値(酵素活性を 50%保持するのに必要なタンパク質濃 度)は 15.8μg/ml で、牛血清アルブミンと同程度の保護活性をもつことが明らかとなった。これは、 水溶性タンパク質の約 20 倍、精製ダイズデハイドリンの約 1/3活性に相当し、簡便な分画処理によ り凍結変性保護成分が効率的に濃縮されることが示された。 |
成果の活用面・留意点 | 大豆タンパク質から、牛血清アルブミン度と同程度の凍結変性保護活性をもつ、ホエー熱可溶性タンパク 質画分を得た。電気泳動パターンから、保護活性はデハイドリン含量を反映しているものであるが、デハイ ドリン以外にも未同定の耐熱性タンパク質も含まれており、これらのタンパク質が、ある程度寄与してい る可能性も考えられる。 |
カテゴリ | 乾燥 大豆 品質保持 |