タイトル | 納豆の粘質物の生産と分解を制御する機構 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
伊藤義文 木村啓太郎 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 納豆菌のγ-グルタミルトランスペプチダーゼがポリグルタミン酸をエキソ型に分解する 活性を有すること及び当該酵素遺伝子の発現がグルタミン酸によって抑制されることを 明らかにした。 |
キーワード | 納豆菌、粘質物、ポリグルタミン酸、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ |
背景・ねらい | ポリグルタミン酸は納豆の糸引き成分として品質に大きな影響を与える。ポリグルタミン酸は優れた保 湿性やカルシウム吸収促進作用があり、肌荒れ防止や皮膚機能改善を目的とした化粧品への添加物や特定 保健用食品として利用されている。ポリグルタミン酸の発酵生産では、分解による収量減少が重要な問題 になっている。本研究は、γ-グルタミルトランスフェラーゼのポリグルタミン酸の分解活性を詳細に解 析するとともに本酵素遺伝子の発現制御メカニズムを分子生物学的手法で究明した。 |
成果の内容・特徴 | 1.納豆種菌である宮城野株に由来するNAFM5株の培養液からγ-グルタミルトランスフェラーゼを均一に 精製した。 2.精製酵素のポリグルタミン酸分解活性は極めて強く、大腸菌の当該酵素の100倍以上であった。従っ て、ポリグルタミン酸分解活性は納豆菌のγ-グルタミルトランスフェラーゼに特異的な機能である と推察される。 3.HPLCで反応生成物を経時的に分析した結果、分解反応はN-末端側からエキソ型に進行することとD-お よびL-γ-グルタミル結合に対する選択性はないことが明らかになった(表1)。 4.当該酵素の遺伝子(ggt)の破壊株を用いて酵素が発酵中のポリグルタミン酸分解への関与を調べた 結果、変異株ではポリグルタミン酸の分解が起こらないことが判明した。 5.当該酵素の生産は反応生成物であるグルタミン酸によって抑制されることを見出した(図1)。 6.プライマー伸張法でggtの転写開始点を決定し、グルタミン酸はggt遺伝子の転写を抑制することを明 らかにした(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | ggt 遺伝子破壊株では、ポリグルタミン酸の分解が抑制されるのでポリグルタミン酸を高収量で安定に 生産することが出来る。ggt 変異株を利用したポリグルタミン酸製造法の特許を申請している。 |
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