タイトル | バガスからのオリゴ糖食品の生産技術 |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2004~2005 |
研究担当者 |
稲福盛雄 稲福直(株式会社琉球バイオリソース開発) 大原誠資(森林総研) 藤野哲也 柏木豊(食総研) |
発行年度 | 2005 |
要約 | サトウキビ搾り粕であるバガスから蒸煮爆砕処理と酵素・発酵処理を組み合わせた技術によって、オリゴ糖に富んだ食物繊維素材を製造する技術を開発した。蒸煮爆 砕、酵素・発酵処理バガスは、キシロオリゴ糖を含み、抗酸化性に富む新規の食物 繊維素材として食品への利用が期待される。 |
キーワード | サトウキビ、バガス、食物繊維、抗酸化性、麹菌 |
背景・ねらい | 1.サトウキビの搾り粕であるバガスは、製糖工場の副産物として大量に産出する未利用農産資源で あるが、産出量の大部分が製糖工場の燃料として焼却されており、さらなる高付加価値化が望ま れている。 2.バガスにはキシロースが鎖のように連結したキシランが約30%含まれる。キシランは、キシロ オリゴ糖やキシリトールの原料として知られるように、食品素材として価値の高い成分であるが、 繊維成分であるセルロースやリグニンと強固にからまっているため、分解することが大変に困難 である。また、キシロオリゴ糖は、甘味度は低いが、難消化性の食物繊維、ビフィズス菌の増殖 効果、カルシウム吸収促進などの機能性をもつ価値の高い食品素材として知られる。 3.そこで、バガスに対して蒸煮爆砕処理、酵素・発酵処理を応用することによって、食品素材とし ての価値を創出する技術の開発を目的とした。 |
成果の内容・特徴 | 1.バガス中のキシランを可溶化するために蒸煮爆砕処理を行った。粉砕バガスを高圧水蒸気にて約 200°C、短時間(1~2分間)加熱し、急激に大気圧に放出して、細胞壁繊維を膨化した。蒸煮爆 砕処理によって、バガスの繊維構造がほぐれ、キシランが可溶化し、酵素や微生物で容易にキシ ロオリゴ糖に分解できる。蒸煮爆砕バガスは褐色で黒糖様の香ばしい香りをもつ。(図1、2) 2.つづいて、蒸煮爆砕バガスに直接キシラナーゼ処理、あるいはキシラナーゼ活性の高い麹菌等に よる発酵処理を行うことによって、キシロオリゴ糖含量が高く、かつ抗酸化性に富む新規の食物 繊維を製造する技術を開発した。 3.得られた爆砕発酵処理バガスは、キシロビオース、キシロトリオースを主体とするキシロオリゴ 糖を乾燥重量の2%以上含み、強い抗酸化性を有するものである。(図3) |
成果の活用面・留意点 | 本研究は、独立行政法人食品総合研究所、独立行政法人森林総合研究所、株式会社琉球バイオリソ ース開発の共同研究の成果であり、独立行政法人科学技術振興機構の独創的シーズ展開事業委託開発 として製造技術が確立され、食物繊維等の製品を開発中である。 |
カテゴリ | 乾燥 機能性 高付加価値 さとうきび |