極微弱発光を利用した油脂の酸化安定性の評価法の開発

タイトル 極微弱発光を利用した油脂の酸化安定性の評価法の開発
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 大谷敏郎
蘒原昌司
発行年度 2005
要約 酸化安定性の非常に高い油脂(焙煎ゴマ油等)の加熱劣化時の自発極微弱発光量変 化に基づく熱酸化安定性の迅速な評価法を開発した。本法による焙煎ゴマ油の計測では、従来の CDM 試験(電気伝導度変化)の約1/4の時間で評価できる。
キーワード 極微弱発光計測、焙煎ゴマ油、熱酸化安定性、AOM試験、CDM試験
背景・ねらい 「焙煎ゴマ油《はセサモールなどのリグナン類の影響で非常に高い酸化安定性を示す。一般的に油 脂の熱酸化安定性の評価には、97.8 °C劣化時に過酸化物価(POV)が 100 に達するまでの時間(AOM 試験)や、120 °C劣化時に生成する揮発性分解物を水中に捕集し水の電気伝導度が急激に変化する時 間(CDM 試験)が用いられている。大豆油などの食用油はほぼ1日以内で AOM 試験により評価でき るにもかかわらず、焙煎ゴマ油の評価には 7 ~ 10 日を要しており、簡便かつ迅速な酸化安定性評価 法の開発が望まれている。本課題では、油脂から生じる極微弱発光現象を検討し、劣化中の発光量変 化により迅速に熱酸化安定性を評価できることを明らかにした。
成果の内容・特徴 1.焙煎ゴマ油を 120 °Cで熱劣化させた試料を常温で自発極微弱発光計測および品質分析を行ったと ころ、発光量は初期劣化時に減衰し一定時間後急激に増加すること、POV増加は初期は少ない が一定時間後急激に増加する(図1)。
2.初期劣化時の発光量の減少は焙煎ゴマ油中に含まれるリグナン類のセサモリン、セサモール等が 影響する(図2)。すなわち、セサモリンが熱分解によりセサモールに変化し、油脂に対する抗 酸化性の高いセサモールとなり、油脂の抗酸化のためセサモールは酸化する。
3.油脂抗酸化性成分のセサモールは、極微弱発光量を発光量を増加させる物質の一つであることを モデル実験により確認した。
4.加熱劣化時の発光量変化を連続的に計測するため図3に示す酸化安定性評価システムを作製した。 劣化促進は 100 °C通気で行い、発光量変化を経時的に計測した。さらに劣化処理後の排気を純水 に捕集しその電気伝導度変化も同時に計測した。
5.本システムにより焙煎ゴマ油の劣化時の発光量変化および電気伝導度変化を計測したところ、発 光量は約4時間、電気伝導度変化では 18 時間にそれぞれ変曲点が確認でき、発光計測は所要時 間が約 1/4迅速な評価法である(図4)。
成果の活用面・留意点 本評価法は焙煎ゴマ油だけでなく、他の食用油および抗酸化剤の評価にも応用可能である。多数の 検体の評価を迅速に行うには、発光計測装置の多検体処理の対応が必要である。
カテゴリ ごま 大豆 評価法

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