タンパク質含量にフィチン、カルシウム含量を加えた豆腐加工適性評価

タイトル タンパク質含量にフィチン、カルシウム含量を加えた豆腐加工適性評価
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 戸田恭子
中村善行
発行年度 2005
要約 豆腐破断応力は、低カルシウム含量の大豆ではフィチン含量と高い負の相関を示し、カルシ ウム含量が高くなるとタンパク質含量との相関が高くなる。タンパク質にフィチン、カルシウム2成分の含量を考慮することで、豆腐加工適性評価がより正確に出来る。
キーワード ダイズ、豆腐、タンパク質、フィチン、カルシウム、破断応力
背景・ねらい 国産大豆は、同一品種でも栽培地や栽培年次で品質が変動し、豆腐の加工適性が安定しないことが問題とな っている。よって、豆腐加工適性の高い国産大豆が求められる一方、簡易かつ統一的な豆腐の加工適性評価法確立が必要とされている。加工適性の中でも特に問題となっているのが豆腐の破断応力(堅さ)であり、こ れに影響を及ぼす成分、特に非タンパク質成分に関する解明が求められている。そこで本研究では、主要な豆 腐用国産大豆品種3品種(フクユタカ、エンレイ、サチユタカ)を用いて、タンパク質含量に加えてフィチン、 カルシウム含量と豆腐破断応力との関係について明らかにする。
成果の内容・特徴 1.フィチン含量やカルシウム含量はタンパク質含量より品種内での変動が大きく、同一品種における豆腐破 断応力の産地や年次変動の要因となる。また、「サチユタカ」のカルシウム含量は、他の2品種に比べて 有意に低く、(表1)全て低含量(10mg/dl以上21 mg/dl以下)に分布する。
2 . フ ィ チ ン 含 量 と 豆 腐 破 断 応 力 と 相 関 は 、 低 カ ル シ ウ ム 含 量 大 豆 で は 高 く ( r = - 0 . 6 8 , 0 . 1 % 水 準 で 有 意 )、 高カルシウム含量の大豆では低くなる(r=-0.08, 有意性なし, 図1)。高カルシウム含量の場合に両者の 相関が低くなる理由として、豆乳の凝固に対する緩衝作用として働くフィチンにカルシウムが結合してそ作用を弱めることが考えられる。
3.種子タンパク質含量と豆腐破断応力との相関は、フィチンの影響が大きい低カルシウム含量の大豆では低 い(r=-0.24、有意性なし)が、高カルシウム含量の大豆では高くなる(図2、r=0.69, 0.1%水準で有意)。
4.大豆3品種を、カルシウム含量が低い「サチユタカ」、カルシウム含量が高い「フクユタカ」と「エンレイ」 に分類すると、豆腐破断応力に対するタンパク質・フィチン含量の重相関は同程度に高くなる(表2)。
成果の活用面・留意点 1.大豆をカルシウム含量の高低で分類した上でタンパク質、フィチン含量を考慮すること により、タンパク質含量のみの従来の方法より高い精度で豆腐加工適性を評価できる。
2.本研究では生絞り法で調製した豆乳を用い、塩化マグネシウム(6 水和物)0.25%を凝固 剤として使用して豆腐を作製している。
3.本研究では、農業・生物系特定産業技術研究機構の各研究センターおよび府県の農業試 験研究機関から入手した 2001 年度から 2004 年度産大豆種子を試料に用いている。
カテゴリ 加工適性 大豆 評価法 品種

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