バレイショ磨砕・液化物を用いた高濃度エタノール生産技術の開発

タイトル バレイショ磨砕・液化物を用いた高濃度エタノール生産技術の開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2007~2008
研究担当者 Sathaporn Srichuwong(食総研)
向島信洋(北農研)
徳安健(食総研)
発行年度 2008
要約 バレイショ磨砕物からバイオエタノールを生産するため、酵素により磨砕物の粘性を低下するとともに、並行複発酵時のグルコアミラーゼ量、硫安濃度および発酵時間を最適化すると、エタノール濃度16.6%(v/v)、理論収率の90%のエタノールが得られる。
キーワード バレイショ、高濃度処理、エタノール、グルコアミラーゼ、硫安
背景・ねらい バレイショ磨砕物を液化したものを高濃度条件下で並行複発酵し、エタノールを生産する。高濃度処理により加水量が減るとともにファーメンターの利用効率が向上するが、その一方で、酵母に対する浸透圧ストレス、栄養源不足、エタノール毒性ストレス等により、生育・発酵阻害が起こることから、発酵条件を最適化する必要がある。そこで、本研究では、磨砕物の粘性低下処理技術を開発するとともに、糖化酵素、硫安濃度および発酵時間に注目し、高濃度処理工程によるエタノール発酵効率の最適化を行う。
成果の内容・特徴
  1. バレイショは磨砕後に高粘性スラリーとなるが、ペクチナーゼ製剤とセルラーゼ製剤を作用させることにより粘度低下し、ハンドリング性が向上する(図1)。本処理により、磨砕スラリー中のでん粉の液化が可能となり、液化物を基質とした高濃度糖化・発酵処理技術が開発される。バレイショ(コナフブキ)の粘度低下のために用いる酵素使用量は、0.25 mg/g乾燥基質程度となる。
  2. 高濃度処理条件下で並行複発酵を行う際に、硫安添加量が少ないとエタノール発酵が中途で停まり、発酵基質であるグルコースが残存する(表1)。この問題を解決し、高いエタノール収率を得るため、JMP7(SAS Institute Inc.社)を用いて三次元モデル式作成による最適化試験を行う。グルコアミラーゼ製剤量、硫安濃度および発酵時間の3つの最適化項目について変動させた34回の並行複発酵試験を実施し、モデル式を導くとともにエタノール収率を最大とする条件を計算する(図2)。その結果、モデル式は高い相関係数(R2=0.949)となり、各最適化項目について表2に示す最適値が得られる。
  3. 最適条件でバレイショ磨砕・液化物を並行複発酵した結果、エタノール濃度はこれまでの試験における最高値16.6%(v/v)となり、エタノール収率は理論値の90%となる。
成果の活用面・留意点
  1. ストレス耐性の高い酵母の使用や、窒素源以外の、マグネシウムやビタミンなどの栄養素の添加効果を解析することにより、さらにエタノール収率が向上するものと期待される。
図表1 210106-1.jpg
図表2 210106-2.gif
図表3 210106-3.jpg
図表4 210106-4.gif
カテゴリ 乾燥 ばれいしょ

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