温暖地平坦部における3年5作水田輪作営農の経営面積と経済性指標

タイトル 温暖地平坦部における3年5作水田輪作営農の経営面積と経済性指標
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者 棚田光雄
小池俊吉
高橋明広
発行年度 1995
要約 開発技術(麦刈取大豆同時播種、水稲乾田不耕起直播)を取り入れた水稲・麦・大豆の3年5作水田輪作営農は、30ha規模の経営面積で成立し、その場合、省力技術体系の下で高収量を達成することで高い経済性が実現される。
背景・ねらい  温暖地平坦部において生産性の高い水田輪作営農を確立するためには、新しく開発された生産技術を導入し、転作作物を水田輪作の中に経営部門として位置づける必要がある。ここでは、当地域の開発技術に基づく水稲・麦・大豆の水田輪作技術体系と、その担い手となる水田輪作営農が備える経営条件(モデル)及び経済性に関する指標値を提示する。
成果の内容・特徴  
  1. 営農モデルは集団営農の形態を想定し、その技術・経営条件は表1の通りである。開発技術としての麦刈取大豆同時播種、水稲乾田不耕起直播、及び汎用コンバイン等を導入し、{(水稲直播-小麦)-(大豆-小麦)-(水稲移植)}の3年5作体系を採用する。なお、初期条件を労働力5人(うち基幹従事者3人)、経営面積30haに設定する。
  2. 線形計画法を使用したモデルにおいて、転作自由とした条件下で経営面積を変動させてみると、経営複合化の有利性により、20haを越えると3年5作体系が一部採用され、30ha規模の経営面積に達すると、同作付体系への全面的な転換が進み、最大の土地利用率となる。耕作限界が近づくと、労力制約が強まり大豆跡の麦作は制限されてくる(図1)。
  3. 30ha規模における生産コストと生産性指標を表2に示した。岡山県平均と比較して、水稲は60%、小麦は同等、大豆は40%のコスト水準である。また、省力技術体系の下でモデルの目標収量を達成することで、各作物とも高い労働生産性・土地生産性が実現できる。
  4. 土地をすべて借り入れた経営(30ha)を行う場合の収益性指標を表3に示した。農業労働報酬として2,370万円が得られ、基幹従事者1人当たり790万円となる。年間の総労働時間は6,570時間、うち基幹従事者は他産業並の1人当たり1,900時間とし、補助者870時間である。

成果の活用面・留意点 成果の活用面・留意点]
  1. 高生産性水田輪作営農の確立のための条件整備に当たって目標として活用できる。
  2. 適用地域は春期に降雨の少ない温暖地平坦部で、二毛作の可能な排水良好な乾田圃場の団地的利用が前提となる。また、地域条件等に応じた収量水準等の修正が必要である。

図表1 210135-1.jpg
図表2 210135-2.jpg
図表3 210135-3.jpg
図表4 210135-4.jpg
カテゴリ 経営管理 コスト 小麦 水田 大豆 二毛作 播種 輪作

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