レタスセル成型苗の生育調節剤・殺菌剤の利用による長期貯蔵技術

タイトル レタスセル成型苗の生育調節剤・殺菌剤の利用による長期貯蔵技術
担当機関 兵庫県立淡路農業技術センター
研究期間 1995~1998
研究担当者 岩田 均
時枝茂行
小林尚司
発行年度 1996
要約 レタスセル成型苗の育苗時のウニコナゾール処理び貯蔵(1~2℃)前、並びに貯蔵中の殺菌剤処理によって冷蔵貯蔵中の生存率の低下は少なく、下位葉の黄化や落葉などから判断して84日間の貯蔵が可能となった。
背景・ねらい  移植適期苗の貯蔵技術は天候不良時の定植遅延に対応するだけでなく、育苗センター等の効率的な運営を図るための技術として花壇苗を中心に実用化している。レタスのセル成型苗の低温貯蔵は、1か月以内の貯蔵期間であれば苗質の低下もなく、定植後の生育にも影響はみられない(1995.兵庫淡路)。しかし、2か月以上になると下位葉の黄化や落葉等がみられ苗質が低下するほか、灰色かび病による生存率の低下が問題となる。そこで、2か月以上の長期貯蔵技術を確立するため育苗時の生育調節剤(ウニコナゾールP)の入庫前及び貯蔵中の殺菌剤(ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル、以下DT剤と略記)処理、順化(冷蔵貯蔵4週間毎に庫外に搬出し、液肥、灌水を行う)の有無を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 生育調節剤0,1,2.5,5ppm濃度をトレイ当たり50mlを本葉展開時に処理したところ、濃度が高くなるほど地上部の生育は抑制されるが展開葉数に差はみられない。84日間の貯蔵後の苗の生存率は2.5ppm>5ppm>1ppm>無処理の順に高く、114日後でも同じ傾向である。健全葉数も無処理(2.1枚)に比べ2.5ppm区(2.7枚)、5ppm区(2.7枚)で多くなる。長期貯蔵苗は、収穫がやや遅れるものの、結球重は明らかに重い(表1)。
  2. DT剤1000倍散布(1~4回)では回数が多くなるほど生存率は向上し、114日間の貯蔵後でも98%と高い生存率となる(表2)。
  3. 貯蔵期間中4週間毎の灌水時に順化処理(1~2日)を検討したところ、順化苗は徒長気味の苗となり、収穫時には抽苔球も多くなる。
  4. 以上のことより、長期貯蔵法として育苗時のウニコナゾールP処理及び入庫前並びに貯蔵中のDT剤処理は有効で、84日間の貯蔵は可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 育苗センターを計画する組織や冷蔵庫を保有している栽培農家または業者保有の冷蔵庫に委託する場合などに広く活用できる。
  2. 1~2℃の低温暗黒条件で乾燥を防ぐため通気性の低いビニルなどで覆うとよい。水稲の育苗棚を利用すれば効率的に格納できる。
  3. 長期貯蔵苗は、慣行苗に比べ収穫開始が1週間程度遅くなる。適応作型、品種は、トンネル作型で「サントス2号」を用いる。
図表1 210262-1.jpg
図表2 210262-2.jpg
カテゴリ 育苗 乾燥 栽培技術 長期保存・貯蔵 品種 保存・貯蔵 レタス

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