水稲中生品種の湛水散播直播栽培のための水管理体系

タイトル 水稲中生品種の湛水散播直播栽培のための水管理体系
担当機関 広島県立農業技術センター
研究期間 1996~1996
研究担当者 古土井悠
中藪正之
発行年度 1996
要約 水稲中生品種の湛水散播直播の水管理体系は、播種直前~出芽始め落水、出芽期湛水、幼穂形成期前20~30日間中干しとする。これにより、出芽苗立の安定、雀害回避、初期生育の促進、耐倒伏性強化に効果があり、収量、品質が安定する。
背景・ねらい  水稲湛水散播直播(潤土粉衣土中散播)栽培は出芽・苗立が不安定で、浮き苗、転び苗が多発しやすく、倒伏しやすい。関東東海地域では早生品種を用いて、落水出芽法、6葉期からの30日間の落水処理が有効であると報告されている。しかし、広島県中南部の中山間地域では、作付品種は中生品種が多く、雀害も大きい。
 そこで、中生品種による落水出芽法の有効性の確認と雀害対策、長期中干しの効果について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 播種直前~出芽始めまでの落水処理により、根の伸長がよく、浮き苗、転び苗が少なく、分けつ開始も早くて、出芽苗立が著しく良好となる(図1、表1)。
  2. 雀害は出芽期(芽長15mm)~1.8葉期位までの間に集中しており、2葉期以後は認められない(表2)。2葉期には籾の胚乳が著しく減少(玄米千粒重で8.9g)している。従って、 出芽始め(芽長10mm)~2葉期の6日間位を湛水することによって雀害が回避できる。
  3. 落水出芽で根の伸長が早く旺盛である(図1)こと、幼穂形成期前20~30日間の長期中干しにより、株元が締まり、稈長も抑制されることにより、耐倒伏性が強化される(表3)。水管理も省力的である。この水管理体系により、収量、品質も安定する(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 播種籾は、土中埋没が不十分では出芽始めまでの鳥害、乾燥による出芽不良、耐倒伏性低下が懸念されるので、土中に確実に埋没(深度2~10mm)していることが必要である。
  2. 落水期間中に、漏水が心配されるほどの亀裂が生じる場合は走り水程度に灌水する。
  3. 落水出芽は出芽が著しく良くなるため、前年のこぼれ籾も出芽しやすいので、作付品種は前年と同一にするなどの対策が必要である。また、雑草多発田での適用は避ける。
  4. 播種時期は5月上・中旬(日平均気温14℃以上)とする。
図表1 210342-1.jpg
図表2 210342-2.jpg
図表3 210342-3.jpg
図表4 210342-4.jpg
カテゴリ 病害虫 乾燥 雑草 直播栽培 出芽不良 水稲 中山間地域 鳥害 播種 品種 水管理

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