タイトル |
ミブナにおける抗変異原のスクリーニング |
担当機関 |
京都府農業総合研究所 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
田中淳夫
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ミブナをメタノール抽出し、n-ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチルで溶剤分画し、分画後の水層を凍結乾燥させ水溶性画分とした。その後、E.coli B/r WP2を用いて抗変異原性試験を行ったところ、n-ヘキサン画分以外は抗変異原性を認めた。
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背景・ねらい |
野菜中の成分が発ガン予防に効果的であることが明らかにされつつある。また、京野菜は京都府内で古くから栽培されてきたため、一般野菜にはない特有の成分を含有する可能性がある。そこで京野菜として広く流通しているミブナの生理機能性の有無を調べる。紫外線照射により突然変異を起こすトリプトファン要求性の大腸菌(E.coli B/r WP2株)を用いて、発ガンの第一段階である遺伝子の突然変異を抑制する抗変異原についてスクリーニングを行う。なお、試料は現地で一般に行われている無加温ハウス下で防虫網無被覆条件と防虫網被覆(0.8mm目合い)条件の2つの耕種方法で栽培する。
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成果の内容・特徴 |
- 、紫外線照射した菌懸濁液に、ミブナから各溶剤分画した試料とPBS(リン酸緩衝液)、軟寒天を加え、寒天平板に重層し、48時間培養する。また、無試料対照はDMSO(ジメチルスルホキシド)を試料と同量分加える。その後、寒天平板上に出現したコロニーを計数し、RMA(相対変異活性)を求め、RMAが50以下で抗変異活性が認められる。
- 防虫網無被覆区のミブナにおいて、n-ヘキサン画分では抗変異原性は認められないが、クロロホルム画分、酢酸エチル画分、水溶性画分でRMAを各々46.3%、47.1%、45.6%まで抑制し、抗変異活性が認められる。また、毒性は全画分で認められない(表1)。
- 防虫網被覆区のミブナにおいても、n-ヘキサン画分では抗変異原性は認められないが、クロロホルム画分、酢酸エチル画分、水溶性画分でRMAを各々45.6%、41.9%、48.2%まで抑制し、抗変異活性が認められる。また、毒性は全画分で認められない(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- ミブナには、遺伝子の突然変異を抑制する抗変異原が存在し、発ガンを抑制する可能性があることから、生理機能性を有する野菜として利活用が図られる。
- ミブナにおいては、クロロホルム画分、酢酸エチル画分、水溶性画分で抗変異原が存在するが、その活性物質の単離、同定には至っていない。
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図表1 |
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カテゴリ |
乾燥
機能性
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