タイトル |
キク圃場におけるミカンキイロアザミウマの越冬生態 |
担当機関 |
広島県立農業技術センター |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
細田昭男
星野 滋
林 英明
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
ミカンキイロアザミウマは、キクの冬至芽上で成虫、幼虫、卵などの種々の発育ステ-ジで越冬している。しかし、4月に冬至芽上に孵化幼虫が急増することから、本種の春季における発生源の主体は冬季に産み付けられた卵である。
|
背景・ねらい |
広島県では1993年6月に、侵入害虫ミカンキイロアザミウマの発生が確認され、1998年12月末で38市町村に分布を拡大し、キク、バラ、トマト、ピーマン等の花弁や果実に食害傷による被害を出している。そこで、本種の越冬生態を東広島市八本松町農業技術センタ-のキク圃場を中心にして明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 本種は東広島市八本松町(1997年1~2月の平均気温:2.3℃、最低気温:2月5半旬-4.2℃)の雨よけハウスと露地ギクの冬至芽上で、成虫、幼虫など、種々の発育ステージで越冬している(表1)。
- 島しょ部のキク産地の露地ギクの冬至芽を冬季に採集し、加温すると幼虫が孵化し、本種の成虫が羽化してくる(表2)。東広島市八本松町の露地ギクでも、冬季に採集した冬至芽から同様に幼虫が孵化し、本種成虫が羽化してくる。
- 卵の発育零点は6.5℃であり、片山(1997)の報告の9.5℃と異なる(図1)。卵の有効積算温度は73日度である。
- 冬至芽の生えた雨よけハウス内における本種の羽化は、1月~2月中旬まではわずかしかみられない。しかし、2月中旬以降、本種の羽化は徐々に増加し、3月になると急増する(図2)。成虫は10℃ではわずかずつ産卵するが、7.5℃では産卵しない。卵から成虫までの発育零点は7.5℃で、有効積算温度は242日度である。
- 雨よけハウス内の冬至芽上における本種の幼虫数は、1月~3月の間はほぼ横這いであるが、4月上旬には卵から孵化した幼虫が急増する。露地ギクの冬至芽上では、ハウスでの孵化より少し遅れて、4月中旬に幼虫が急増する(表1)。
- したがって、本種の春季における発生源の主体は、冬季に冬至芽上に産み付けられた卵である。
|
成果の活用面・留意点 |
- 元親株床周辺の本種の発生源、飛来源となる未収穫花や2番花などは早めに整理する。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
害虫
きく
トマト
ばら
ピーマン
|