アントシアニン系色素に着目した水稲「赤名系紫黒米3号」

タイトル アントシアニン系色素に着目した水稲「赤名系紫黒米3号」
担当機関 島根県農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 山本朗
発行年度 1998
要約 紫黒米は、機能性物質として注目されているアントシアニン系色素を多く含み、地域特産品の原料作物として有望である。栽培適性を改善し、効率的色素生産が可能な「赤名系紫黒米3号」を育成した。
背景・ねらい  中山間地域では、特産品作りが盛んであり、気候や地形を有利に利用した原料用水稲の開発に対する要求が高まっている。アントシアニン系色素を多く含む紫黒米に着目し、色素の含有量を増やすため粒色と粒大による選抜を図るとともに早熟化、耐倒伏性、脱粒性の改善を目指して育成した。
成果の内容・特徴
  1. 「赤名系紫黒米3号」は、昭和57年に農林省熱帯農業研究センター沖縄支所において交配した「バリ島紫黒稲」と「イシカリ」のF4集団を昭和62年に兵庫県立農業試験場酒米試験地から分譲を受け、赤名分場で選抜固定を図ったもので平成3年から「赤名系紫黒米3号」の系統名を付して、地域適応性を検討した。
  2. 玄米の粒色は黒紫色で、アントシアニン系色素含有量が多い(表1、2)。
  3. 「ときめき35」対してCa、P、K、Mgの成分が多く含まれる(表3)。
  4. 出穂期は3日程度、成熟期は4日程度早く、極早生に属する(表1)。
  5. 稈長は16㎝程度長く、耐倒伏性はやや劣る(表1)。
  6. 穂発芽性は極難で優り、耐冷性は中でやや劣る(表1)。
  7. いもち病抵抗性は強でやや優る(表1)。
  8. 玄米重は30%程度下回る(表1)。
  9. 粒厚1.6mm以上の玄米千粒重は18g程度と軽く、粒形はやや長く、粒厚は2.0mm以下である(表1)。

成果の活用面・留意点
  1. 天然色素原料として、加工食品や染色に利用できる。
  2. 普及地帯は、島根県内の中山間地帯の標高100m~500mの地域とする。
  3. 稈長がやや長く耐倒伏性が若干劣るので、多肥栽培は避ける。
  4. 隣接圃場への苗の流出や花粉の飛散を防ぐため、他品種と隔離して栽培する。
  5. 混種した場合でも、粒厚が2.0mm以下であるため篩による分別が可能であり、酒米(粒厚2.0mmで調整)栽培地帯であれば安全性は高い。
図表1 210674-1.gif
図表2 210674-2.gif
図表3 210674-3.gif
カテゴリ いもち病 加工 機能性 酒造好適米 水稲 中山間地域 抵抗性 品種

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