タイトル |
棚田放牧地の法面崩壊及び泥濘化を引き起こす要因と対策 |
担当機関 |
畜産部 |
研究期間 |
1999~2002 |
研究担当者 |
小山信明
井出保行
千田雅之
谷本保幸
佐藤節郎
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発行年度 |
1999 |
要約 |
棚田放牧地の法面崩壊及び泥濘化を引き起こす要因として、牧柵設置場所、過放牧及び排水不良があげられる。対策としては、この要因に配慮しながら放牧利用することが重要で、特に、牧柵設置場所、放牧頭数、飲水器には注意を払う。
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背景・ねらい |
耕作放棄された棚田の放牧利用にともなって法面崩壊や泥濘化する事例が見られ、棚田の保全管理や放牧の継続性の面からも法面崩壊防止及び泥濘化防止技術が求められている。そこで、棚田放牧地を対象に法面の崩壊と泥濘化を引き起こす要因について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 法面崩壊及び泥濘化を引き起こす要因として図1に示すように、牧柵の設置場所、過放牧及び排水不良がある。
- この要因がどの様な過程を経て棚田の法面崩壊と泥濘化を引き起こすかを図1に示した。排水不良を例にとると、飲水器から流れ出た水は、棚田に流れ込み、排水不良のため滞水し、泥濘化を引き起こす。このため、田の部分の可食草量が不足し、牛は法面の野草を多量に採食する。このとき、採食のために法面を歩行する回数が増すので、法面は蹄によって崩され、崩壊が始まる。
- 法面が崩壊し泥濘化している棚田放牧地に対する対策
1)排水不良:飲用水が流れ出るタイプの飲水器(写真1)は、流れ出ないように止水弁付き飲水器(写真2)に変える。また、排水溝を設置する。 2)牧柵の設置場所:法面の上縁に設置してある牧柵を、外柵については法面の上縁から1m程度離して牛が歩ける平らな場所を確保して設置しなおし(写真3)、内柵は撤去する。 3)過放牧:繁殖牛の放牧頭数を2~3頭/haに減す。 4)法面のシバ草地化:裸地化した法面に対して、張りシバ法(シバ苗を生牛糞(糊として利用)を用いて、1枚/㎡法面に張り付ける)により崩れている法面にシバを導入する(写真4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 中山間の棚田や段畑を放牧利用する場合の参考とする。
- 棚田を放牧利用する場合、水系から水が流れ込まないようする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
中山間地域
繁殖性改善
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