タイトル |
エンドウ褐紋病菌のベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌の発生と代替薬剤 |
担当機関 |
和歌山県農林水産総合技術センター農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
増田吉彦
吉本均
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発行年度 |
2000 |
要約 |
エンドウ産地より分離されたエンドウ褐紋病菌よりベンゾイミダゾール系薬剤の耐性菌が確認され、耐性菌率は72%と高い。現地の防除試験においても同系薬剤の防除効果の低下が認められる。代替薬剤としてはトリアジン水和剤が有望である。
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背景・ねらい |
エンドウ褐紋病菌は露地エンドウの重要病害であるが、近年多発する事例があり、基幹防除薬剤のベンゾイミダゾール系薬剤の薬効低下が疑われていた。そこで、本耐性菌の発生実態を明らかにし、有効な防除薬剤を選定する。
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成果の内容・特徴 |
- エンドウ褐紋病菌分離菌株のベノミルに対するMIC値(最小生育阻止濃度)の頻度分布は明確な2峰性を示し、MICが100ppm以下の菌株と1,600ppmの菌株に分けられる(図1)。前者が感受性菌、後者が耐性菌と考えられ、耐性菌率は72%である。
- エンドウ褐紋病菌のベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌(ベノミル耐性菌)はエンドウ産地の印南町全域より確認される(表1)。
- 現地圃場おけるエンドウ褐紋病防除試験において、ベンゾイミダゾール系薬剤であるチオファネートメチル水和剤1,500倍の防除効果は低く、耐性菌の発生による防除効果の低下と考えられる(表2)。
- トリアジン水和剤500倍は最も防除効果が優れ、代替薬剤として有望である。また、うどんこ病の防除に使用されるトリフルミゾール水和剤3,000倍はトリアジンに比べやや効果は劣るものの、防除効果が認められる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- ベンゾイミダゾール系薬剤であるベノミル水和剤およびチオファネートメチル水和剤は、エンドウ褐紋病菌に対して連用により防除効果が低下するので、使用は1回程度に留める。
- エンドウ褐紋病はトリアジン水和剤500倍を用い褐斑病と同時防除とする。なお、散布は予防に重点をおく。
- 収穫時期には、うどんこ病に対するトリフルミゾール水和剤3,000倍を散布すると、褐紋病の発生も抑制でき、薬剤散布による汚れも少ない。
- 圃場の排水に留意し、定植後は過繁茂にしないなどの耕種的対策を徹底する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
うどんこ病
栽培技術
耐性菌
防除
薬剤
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