タイトル |
内生細菌Pseudomonas sp. FPH9601によるトマト根腐萎凋病防除 |
担当機関 |
兵庫県立中央農業技術センター農業試験場 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
岩本豊
神頭武嗣
前川和正
相野公孝
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発行年度 |
2000 |
要約 |
内生細菌 Pseudomonas sp. FPH9601を培土に混和し、育苗したトマト苗は、トマト根腐萎凋病(Fusarium oxysporum f.sp. radicis-lycopersici )に対して発病抑制効果が認められる。
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背景・ねらい |
トマト栽培における大きな生産阻害要因の一つとしてトマト根腐萎凋病等による土壌病害の発生が挙げられる。今後トマト産地の維持、発展には、これら病害の防除対策が必要不可欠である。そこで、トマト青枯病に対して発病抑制効果を示す内生細菌のトマト根腐萎凋病に対する適応性を検討し、本病の生物的防除法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 生細菌(Pseudomonas sp. FPH9601)接種トマト苗の育成は、約109 cfu/ml に調整したFPH9601懸濁液をバーミキュライトと混和し、セルトレイに充填後、トマト種子を播種する。その後、湿度100%、25℃条件下で4日間催芽させた後、慣行育苗する。
- 生細菌FPH9601混入培土で育苗したトマト幼苗(FPH接種苗)にトマト根腐萎凋病菌を潅注接種すると、無処理苗の発病度が46.3であるのに対してFPH接種苗の発病度は24.0となり、発病抑制効果がある(表1)。
- 根腐萎凋病に特徴的な病徴である根部の腐敗は、無処理苗と比べてFPH接種苗の方がその程度が軽い(図1)。
- トマト苗の根部への病原菌感染部位数と根内の病原菌量を調べると、いずれもFPH接種苗は少ない傾向である(表2)。
- FPH接種苗を根腐萎凋病汚染ほ場に定植した場合も同様の傾向を示し、対照の土壌くん蒸剤と比較して効果はやや劣るが、長期間安定した防除効果がある(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 生細菌FPH9601は、トマト根内に侵入・定着することにより発病抑制効果を示すため、播種及び育苗時の管理(培土をセルトレイにしっかり充填する、播種~発芽まで25℃を維持する等)に注意する必要がある。
- FPH接種トマト苗の生育は、育苗期間中はアントシアニン形成及び生育抑制が認められるが、本圃移植後、急激に生育は回復し、実用上問題無い。
- 本試験に供試した品種(大型福寿及びハウス桃太郎)以外への適応性は、今後の検討課題である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
栽培技術
生物的防除
土壌くん蒸
トマト
播種
品種
防除
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