タイトル | 小麦品種「あやひかり」の登熟過程に関する気象反応特性 |
---|---|
担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
井上君夫 中園 江 脇山恭行 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 小麦4品種について、登熟過程における子実肥大及び成熟期間の品種間差異を気象要素との関係から明らかにした。多収性と早熟性に優れる小麦新品種「あやひかり」は豊富な日射と乾燥土壌条件において、それらの特性がより発揮される。 |
キーワード | 小麦、あやひかり、登熟気象反応、早熟性、多収性 |
背景・ねらい | 小麦新品種「あやひかり」の一特性である早熟性が地域や年次によって発揮されないとの指摘がある。それを子実肥大の登熟性に関する気象反応の品種間差異によって明らかにする。温度、日射、土壌水分の組み合わせ処理が可能な簡易パイプハウスを用いて2000、2001年度に栽培試験を実施し、その気象反応解析から小麦4品種の早熟性と多収性及び品質を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 小麦の千粒重(子実肥大)の増加速度と増加持続期間は登熟期間中の温度と日射の影響を強く受ける。また、成熟期及びその千粒重は処理条件と品種によって明らかに異なることが分かった。多収が見込まれる「あやひかり」が最も日射変換効率が高く、一方早生品種は効率の低いことも明らかとなった(図1、図2)。 2. 成熟期の千粒重は出穂期から成熟期までの乾球温度、湿球温度、土壌水分、日射量と相関が高く、これらの抽出された説明変数には品種によって異なる気象反応特性が見出された。「あやひかり」の千粒重は日射と土壌水分の影響を強く受けるが、多収性は乾燥土壌条件でより発揮される(図3)。 これと異なる特性を示したのが、大気湿度が高い湿潤土壌でも多収が期待できる農林61号である。「農林61号」は気象適応性の高い品種と考えられる(図4)。早生品種の特性を示したのが、「バンドウワセ」と「群馬W2号」であり、両品種は大気湿度が低い高温条件で多収が期待される。 3. 収穫後の原麦の灰分とタンパク質を分析結果によると、品質は対照区(無処理区)が最も優れ、少照条件で最も劣ることがわかった。灰分は減収となった処理区で増大する。これと相関の高いタンパク質は気温や土壌水分とあまりが関係なく、減収となった少照条件で増大する(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本試験を実施した2ヵ年は平年並の気象経過であったことから、梅雨明けが遅れる場合などへの適用には注意を要する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
カテゴリ | 乾燥 小麦 新品種 多収性 品種 |