タイトル | 回行式の傾斜地果樹用多目的モノレール |
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担当機関 | 生物系特定産業技術研究推進機構 |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
(株)ニッカリ (株)共立 奥村隆志 横田昇平 久保田太郎 金光幹雄 小川幹雄 長木 司 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 傾斜上下方向に設置した本線軌条に、等高線方向に園内くまなく配置したS字状の軌条を組合わせて、薬液散布や運搬等の作業を行うことのできる多目的モノレールである。薬液散布作業は無人で25a/h以上の能率で行うことができる。園内の収穫物運搬作業も能率的に行うことができ、重作業の時間が大幅に短縮される。 |
キーワード | 果樹、モノレール、無人薬液散布、運搬、肥料散布、 |
背景・ねらい | カンキツ園をはじめとする急傾斜地果樹園では、大部分の作業を人力に頼っている。急傾斜地で動力噴霧機から園内にホースを延ばしての人力による薬液散布作業は重労働である。また、収穫物や農業資材の運搬は、傾斜上下方向に設置されたモノレールが利用されているものの、等高線方向の運搬は一輪車程度しか使えず、能率が低く労働負担の大きい作業になっている。そこで、傾斜地果樹園での薬液散布作業、収穫物や資材の運搬作業等の省力化と軽作業化を図るため、回行式の傾斜地果樹用多目的モノレールを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 等高線方向のS字軌条と上下方向の本線軌条で構成される。S字軌条は、曲率半径3.5m程度に曲げ加工ができる。低コスト化を図るため、上下面をスリット加工した50×50mmの角パイプである(表1)。なお、S字軌条は樹列2~3列毎に設置する。 2. S字軌条では、S字軌条けん引車が薬液散布車、運搬車等の作業機をけん引して作業を行う。薬液の補給や収穫物等の移動を、本線軌条との近接点で行う。なお、各作業機は引込み線を設けた場所に格納しておき、ポイントを切り替えて作業機のS字軌条への入れ替えを行う。S字軌条けん引車は、ウレタンローラ式駆動輪である。 3. 本線軌条には、本線けん引車、本線タンク車、本線運搬車があり、S字軌条への薬液補給や収穫物の本線軌条末端への運搬等を行う。薬液の補給は、本線軌条に沿って設置した配管を介して、本線軌条端部のタンクからもできる。 4. 薬液散布車は、エンジン、ポンプ、送風機、噴頭等からなり、噴頭は電動モータで左右に回動する。薬液散布は片側方向に散布を行うので、1往復で軌条の両側に散布する。薬液散布作業及び噴頭の方向制御は無人で行う(図1)。散布量370~410L/10aの時の作業能率は26~27a/hである。本装置は、スプリンクラと比較して、薬液散布量を節減しても薬液付着は良好である(表2)。 5. S字軌条を走行する運搬車の積載量は200kgである。収穫箱の等高線方向の運搬作業能率は、64箱/h・人であり、手運搬に比べ2.5倍となり、重作業の時間が大幅に短縮される(図2)。 6. 肥料散布車により化成肥料を120kg/10a散布した時の作業能率は27a/hである。施肥量は化成肥料で30~150kg/10a、有機肥料で50~150kg/10aであり、散布幅は3~6mである。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 平成15年に実用化の予定である 2. S字軌条の運搬車にセット動噴とタンクを積載しての除草剤散布や、粉砕機を積載してせん定枝処理が行える。 3. 最大傾斜30゜以下の果樹園に設置可能である。 4. 薬液散布性能を確保するためにS字軌条の設置間隔は8m以内とする。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 土づくり 肥料 病害虫 加工 傾斜地 省力化 除草剤 施肥 低コスト 肥料散布 その他のかんきつ |