タイトル | 農耕地土壌のアンモニウム態窒素の比色定量法 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
荒川祐介 山本克巳 赤木功 |
発行年度 | 2003 |
要約 | インドフェノール法においてフェノールの代わりに2-ヒドロキシビフェニルナトリウム塩を用い、炭酸緩衝液中において呈色させることで、土壌中のアンモニウム態窒素を簡便かつ迅速に定量することができる。 |
キーワード | アンモニウム態窒素、土壌、2-ヒドロキシビフェニルナトリウム塩 |
背景・ねらい | 土壌中のアンモニウム態窒素(NH4-N)は植物の主要な窒素源として重要であるだけでなく、硝化により環境汚染物質として注目される硝酸態窒素に変化するため、その簡便かつ迅速な定量法が望まれる。従来定量には、操作が煩雑で熟練を要する水蒸気蒸留法や室温で相転移をするため取扱いの煩雑なフェノール(劇物)を用いたインドフェノール吸光光度法により定量されている。Rhineら(1998)によりフェノールの代替に安全性が高い2-ヒドロキシビフェニルナトリウム塩(図1)を用いた定量法が提案されたが、本邦土壌に適用したところ呈色溶液中にリン酸カルシウムと思われる懸濁物が生成し吸光度の測定を妨害した。そこでこの方法(原法)を改良するとともに比色条件について検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. インドフェノール色素の呈色は、pHの影響を受けやすいため緩衝液中で行うことが多い。しかし原法(リン酸緩衝液)では検液のカルシウムイオン濃度が高いとリン酸イオンと反応して懸濁物が生成し吸光度に正の誤差を生じる。緩衝液に炭酸緩衝液を用いることでこの干渉が抑えられる(図2)。 2. 図3に従って呈色を行う。提案法のモル吸光度は、2.54×104(dm3mol-1cm-1)でフェノールを用いる場合のモル吸光度の0.87~2.04×104(dm3mol-1cm-1) に比べて高感度である。0~5mgN/Lの範囲内で相関係数0.999の検量線が得られる。検出限界は0.021mgN/L(S/N = 3) であり、相対標準偏差は2.9 % (2 mgN/L, n=10)である。 3. 提案法による定量値は水蒸気蒸留法によるそれと比べて系統的に若干高いが、両者の間には高い相関関係が認められ、ほぼ一致した結果を得ることができる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 各種の土壌に適用可能である。また、環境水の測定、土壌CECの測定にも適用可能である。 2. 2-ヒドロキシビフェニルナトリウム塩は殺菌剤、防黴剤として用いられているが毒性は低い。 3. フェノールの代替としてサリチル酸ナトリウム(SA)を用いる方法があるが、SAは炭酸緩衝液のpHではモル吸光度が極めて低い。 4. クエン酸溶液、PPS溶液は冷所保存、次亜塩素酸-炭酸緩衝液は使用前に調整する。PPS溶液は保存中に褐色になるが測定には影響しない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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