堆肥連用水田土壌の窒素安定同位体自然存在比の30年にわたる推移

タイトル 堆肥連用水田土壌の窒素安定同位体自然存在比の30年にわたる推移
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2002~2004
研究担当者 西田瑞彦
加藤直人
住田弘一
岩谷香緒里(青森農林総研)
発行年度 2004
要約 堆肥の窒素の安定同位体自然存在比(δ15N値)はその材料、腐熟度を反映する。水田土壌のδ15N値は堆肥無施用を続けると低下し、稲わら堆肥連用でほぼ一定に推移、家畜ふん堆肥連用で上昇する。
背景・ねらい
堆肥等有機物、化学肥料、土壌の窒素の安定同位体自然存在比(δ15N値)が異なることを利用し、δ15N値を施用堆肥、施肥窒素の動態解明、また有機農産物の判別に用いることが試みられている。家畜ふん堆肥等の施用により土壌のδ15N値が高くなることは知られているが、長期連用中の水田土壌のδ15N値が変化する過程を明らかにした例はない。そこで、1968年から行っている稲わら堆肥連用試験と、1973年から行っている家畜ふん堆肥連用試験に用いた堆肥と水田土壌のδ15N値の推移を調査する。
成果の内容・特徴
1.
施用した稲わら堆肥の窒素の安定同位体自然存在比(δ15N値)は1981年以降ほぼ一定(約5‰)である(図1)。
2.
施用した家畜ふん堆肥のδ15N値は未熟牛ふん堆肥であった1980年代初期は約6‰、完熟牛ふん堆肥となった1980年代中期~1997年は約11‰、鶏、豚、牛の3畜種混合堆肥である1998年以降は約17‰とその腐熟度、畜種により異なる(図1)。
3.
堆肥無施用を続けると土壌のδ15N値は低下し、約30年間で約3‰から約2‰へと低下する。さらに窒素質肥料を施用するとそれよりも低く推移し続ける(図2、3)。
4.
稲わら堆肥の連用により土壌の窒素含有率は増加し、稲わら堆肥2t/10a以上の連用では土壌のδ15N値は約30年間ほぼ一定の3~3.5‰で推移し続ける(図2)。
5.
家畜ふん堆肥の連用により土壌の窒素含有率は増加し、土壌のδ15N値は約30年にわたって上昇し、3~4‰から6~7‰へと変化する(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
堆肥等有機物、化学肥料の窒素動態の解明にδ15N値を利用しようとする研究の基礎的な情報となる。
2.
堆肥連用水田の土壌は細粒灰色低地土である。
図表1 211507-1.gif
図表2 211507-2.gif
図表3 211507-3.gif
カテゴリ 肥料 有機農産物 水田 施肥

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