タイトル |
GPSから得られる速度の精度評価のための装置およびデータ処理方法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
帖佐直
大嶺政朗
細川寿
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発行年度 |
2006 |
要約 |
GPSアンテナが固定されたターンテーブルの回転検出から得られる速度(速さと方向)を基準としてGPSの動的精度を評価する。回転計から離散的に得られる角位置は、補間処理されるため、機械的な回転検出の分解能よりも細かな精度での検証が可能となる。
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キーワード |
GPS、精度評価、速度、離散データ、補間、動的精度
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背景・ねらい |
作物や圃場情報のモニタリングや機械の制御・自動化などGPSは農作業研究において革新的な役割を果たした。GPSの活用に際しては研究目的や開発目標に応じて、その機能を評価し機種選定する必要があり、作業車両に搭載する際には、特に動的に得られる位置や速度などの精度が重要となる。しかし、一般的に公表されるGPSの精度は、静的な精度であり、標準的な動的精度評価手法は存在しない。そこで、GPSの動的精度として、GPSアンテナが移動体に取り付けられたときに得られる速度精度を検証する手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- GPSから得られる速度精度を評価する装置は、ブームが取り付けられたターンテーブル、ターンテーブルを駆動するための三相モータおよび動力伝達装置、モータ回転を制御するインバータなどで構成される(図1)。ブーム先端(半径2mの位置)にGPSアンテナをとりつけ、受信機、電源他を固定したターンテーブルを回転させて、GPSにより検出された速度とターンテーブルの回転を比較する(図2)。ターンテーブルの回転はインバータを介して、外部信号やボリュームの調整により、設定した条件やランダムな変化での制御が可能である(図2)。このとき、制御系の誤差や動力伝達のロスなどの影響を排除するため、その回転数は、ターンテーブルと一体となったギア(図1)に反応する磁電式回転計で実測する。
- 回転計はギアの凹凸に応じてパルス信号を出力し、その信号をデータロガー(サンプリング周期1000Hz)に記録する。パルス数の積算からは、離散的な位置しか算出されないため、離散的位置を補間した後で差分することで方向および速さを得る(図3)。そのためギアの凹凸からは1/240回転の移動しか検出されないが、それよりも細かな位置変化が得られる。
- GPSから得られる速度とターンテーブル回転検出から得られる速度とは、後処理により比較する。このとき、GPSデータの受信時刻ではなくGPS信号に付与される時刻情報を基準とするため、演算および通信に要する遅れは影響しない。
- 以上の装置およびデータ処理によりGPSから得られる速度の精度を評価すると、一般に知られているとおり、静的精度から試算される値よりも正確に速度が計測されていることが確認できる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 0~2.5m/s範囲でGPSの動的精度評価(測位精度などや過渡特性評価等)に活用でき、アンテナ固定位置の調整によっては、評価する速度の範囲や分解能を変更できる。
- ターンテーブルには、GPS機器の他、ノートパソコン、12Vバッテリーなどが固定されるが、安全のため中心部にバランスよく配置し、過剰な搭載はしないこと。
- 開発装置は水平状態で使用し、2次元の挙動について評価を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
GPS
シカ
モニタリング
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