トラクタ用省エネ運転指示装置

タイトル トラクタ用省エネ運転指示装置
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究期間 2003~2006
研究担当者 後藤隆志
高橋弘行
手島司
杉浦泰郎
清水一史
積栄
発行年度 2006
要約  燃料消費量及び排出ガス中の黒煙が少ないトラクタの運転条件(PTO速度段、走行速度段、機関回転速度)を、運転者に指示する装置である。最大出力の60%程度以下の負荷で作業する場合の燃料消費量を15%以上低減できる。
キーワード トラクタ、燃料消費量、速度段、機関回転速度、省エネルギ、黒煙
背景・ねらい  地球温暖化防止、石油燃料の価格高騰等に対応するため、農作業の省エネルギ化が求められている。中~軽負荷のトラクタ作業においては、機関回転速度を下げて作業すると燃料消費量を減らすことができるが、農業機械士でも、約半数が施肥、播種、防除といった軽負荷作業をスロットル3/4以上で行っているのが実状である(生研機構:乗用トラクタに関する使用実態調査結果概要、1992)。また、大気汚染物質の一つである黒煙は、ディーゼルエンジンでは過負荷気味になると濃度が高まる傾向がある。そこで、燃料消費量と排出ガス中の黒煙が少ない運転条件を運転者に指示する装置を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 電磁式回転センサと熱電対により機関回転速度と機関出力を推定し、燃料消費量及び排出ガス中の黒煙が少ないトラクタの運転条件(PTO速度段、走行速度段及び機関回転速度)をパソコンの画面と音声で運転者に指示する装置である(図1、図2)。
  2. 電気動力計で2kWおきに負荷をかける基礎試験を行い、その値と排気マニホールド付近の排出ガス温度との関係から機関回転速度100rpmごとに回帰式を求め、作業時の回転センサと熱電対の出力より機関出力を推定している(図1)。
  3. 機関回転速度と機関出力の領域を使用PTO速度段に応じ、3(PTO3速時)、4(PTO2速時)、5段階(PTO1速時又はPTO非使用時、図3左)に分け、作業時の機関回転速度と機関出力(任意の時間内の平均値)がどの領域にあるかにより、パソコンの画面と音声で運転条件(PTO速度段、走行速度段及び機関回転速度)の変更指示(図2、図3右)を出す。
  4. 黒煙低減のための指示を除き、指示前後のPTO回転速度と作業速度がほぼ同じとなるため、運転条件の変更による作業精度の低下はない。
  5. 開発した装置を24kW級国産トラクタに利用した場合、機関最大出力の60%程度の負荷時で約20%、40%程度の負荷時で15~30%、10~20%程度の負荷時で15~50%、燃料消費量を減らすことができる(図4)。また、排出ガス中の黒煙が多い過負荷気味の作業を回避することができる(図4左)。
成果の活用面・留意点
  1. 今後、トラクタ製造企業に技術移転して実用化する予定である。
  2. 指示された機関回転速度が1,400rpm程度以下で、土壌条件のばらつき等により負荷の変動が大きい場合には、指示結果より1段低い速度段とし、機関回転速度を指示値より3割程度高めにすると、より安定した作業を行うことができる。
図表1 211619-1.jpg
図表2 211619-2.gif
図表3 211619-3.gif
カテゴリ 病害虫 省エネ・低コスト化 施肥 播種 防除

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