タイトル |
収穫利用コストを5分の1にする飼料イネの立毛放牧技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
千田雅之
菅谷新一
佐藤宏弥
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発行年度 |
2007 |
要約 |
電気牧柵を利用した飼料イネのストリップグレージングにより、10aあたり繁殖牛100頭日以上の高い牧養力が確保され、飼料イネの収穫利用コストは稲発酵粗飼料の5分の1に削減される。
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キーワード |
飼料イネ、繁殖牛、ストリップグレージング、電気牧柵
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背景・ねらい |
飼料イネの生産利用の普及には、栽培費の低減とともに収穫ロスを削減し収穫利用に関わる負担を軽減する必要がある。そこで、飼料イネの利用効率の改善(採草率の向上、採草利用経費の削減)、及び肉牛経営の発展方策(放牧期間の延長)として、繁殖牛による飼料イネの立毛放牧技術を開発し、その経済性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 放牧草の減少する晩秋に放牧期間を拡大するため、5月下旬~6月下旬に晩生品種の飼料イネを移植栽培し、カリ成分の低下する乳熟期以降に利用する。また、ストリップグレージング(制限採食)で放牧するため、バックヤードとして放牧利用可能な牧草放牧圃場に隣接する水田圃場、または食用稲収穫後放牧利用が可能な圃場に隣接する水田圃場を選んで飼料イネを作付する。
- 電気牧柵は立毛イネの手前に、地面から約70cmの高さに設置し、電気牧柵の下から3条先のイネ株までを採食させ、株元まで食べたら電気牧柵を移動する(図1)。
- 電気牧柵を活用して放牧牛の採食行動を制限することにより、地際から1~2cmの高さまで飼料イネを採食させることができ、圃場生産量に対する採食ロス(残草)を3%程度に抑え、10aあたり100頭日以上の高い牧養力を確保できる(表1)。
- 栽培管理費を除く飼料イネの放牧利用コストは、コンバイン型(C型)専用機による稲発酵粗飼料(イネWCS)の収穫調製、運搬利用コストの約5分の1に減少する(表2)。
- 飼料イネ放牧利用では、産地づくり交付金などの助成額がイネWCS生産より減少し、放牧管理など耕種農家の負担が増す。このため、飼料イネ放牧実施前に耕種農家、畜産農家それぞれの収支を確認し、事例において畜産農家から耕種農家に25千円の補填を行っているように、耕畜間の費用負担等の協議を行う(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 飼料イネの省力・低コスト利用に活用できる。
- 放牧期間の拡大など肉牛経営の改善に活用できる。
- 肝蛭など寄生虫検査を定期的に行い、感染確認の場合は駆虫薬を処方するなど適切な処置を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
コスト
栽培技術
水田
低コスト
肉牛
繁殖性改善
品種
放牧技術
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