タイトル |
酒造米用水稲新品種候補系統「北海278号」 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1987~1997 |
研究担当者 |
荒木 均
今野一男
三浦清之
永野邦明
浜村邦夫
大内邦夫
西村 実
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
水稲「北海278号」は寒地では中生の早に属し、耐冷性が極強、葉いもち耐病性がやや強の酒造用系統であり、やや大粒・低蛋白で製麹性がすぐれ、酒造に適する。
|
背景・ねらい |
北海道には酒米品種がなく、酒造原料用を特定した契約栽培等もほとんどない。しかし、近年の地酒ブ-ムの中で「道産原料を用いた本格的な地酒」の生産のために道内で栽培可能な酒造好適米品種が求められている。また、道産一般米の一部はは酒造用として、道内外に販売されており、道産米の販路拡大のため、より良質で低コスト生産が可能な酒造用品種が求められている。そこで、酒造米品種の育成を図ってきた。
|
成果の内容・特徴 |
- 水稲「北海278号」は、マツマエ/上116//北海258号の交配組み合わせから選抜された酒造用粳系統である。
- 出穂期は、「きらら397」とほぼ同じで、“中生の早”に属する。
- 稈長は、「ゆきひかり」と同程度で「きらら397」よりやや長く、穂長は両品種の中間程度、穂数は両者より少ない”中間型”である。
- 耐冷性は”極強”で両品種に優る。いもち病真性抵抗性型は“Pi-k”と推定され、葉いもちの圃場抵抗性は、“やや強”である。耐倒伏性は“中~やや強”である。
- 収量性は、「きらら397」、「ゆきひかり」より5~10パ-セント程度高い。
- 玄米千粒重は、「きらら397」より1.5g程度大きく“やや大粒”である。
- 白米の蛋白含有率は、「きらら397」と同程度かやや低く、カリ含有率はやや高い。
- 搗精米の吸水速度はやや遅く、消化性はやや劣る。製麹性は、蒸し米の粘りが少ないためさばけがよく、はぜ込みも良好である。製成酒は、酸度、アミノ酸度が低く、透明度の高い「淡麗辛口」の傾向を示す (表1、表2)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 上川(士別以南)、留萌中南部、空知、石狩、後志、日高、胆振、渡島、桧山の良地帯に適応し、1,000ヘクタールの普及が見込まれる。
- 酒造原料用として低蛋白米生産可能地帯に限定して普及を図る。
- 多肥栽培を避け、健苗育成、適正植付け本数の確保等により初期生育を促進する。
平成9年度北海道農業試験会議における課題名及び区分 課題名:水稲「北海278号」に関する試験(普及奨励)
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
いもち病
寒地
酒造好適米
新品種
水稲
抵抗性
低コスト
品種
|