タイトル |
寒冷地における発酵床(「バイオベッド」)方式による豚の管理システム |
担当機関 |
北海道立滝川畜産試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
寒冷地におけるバイオベッド(発酵床)を利用した豚の管理システムを確立した。冬季にも適応できるバイオベッドの造成およびその管理方法を明らかにした。さらに、肥育豚および育成豚・繁殖豚へのバイオベッドの利用方法を明らかにした。
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背景・ねらい |
バイオベッドは低コスト、省力的などの利点を有し、今後も導入は増えるものと考えられている。しかし、寒冷期におけるベッドの維持や管理に不明な点が多く、失敗例も多い。そこで、これらの点について明らかにし、寒冷地に適合するシステムを確立する。加えて、従来バイオベッドの利用は肥育豚が主体であるが、育成、繁殖豚についても検討し、バイオベッドの利用拡大をはかる。
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成果の内容・特徴 |
- バイオベッドの利用に関する実態調査の結果、次の点が明らかになった。
- バイオベッドの利用によって、毎日の糞尿処理作業がほとんど必要ないので楽になったという生産者が多かった。
- バイオベッドは豚舎建設費、維持費、人件費の面でコスト低減効果が顕著であった(表1)。
- 寒冷期に床材としてオガクズを用いた場合、通気性が悪く発酵が不良となるためモミガラ等の粒径の大きな材料を混合する必要がある。
- バイオベッド表層の床材としてバークは作業性が悪かった。寒冷期でもバーク堆肥の発酵は良好であり、下層部に敷くことで、オガクズの発酵が良好となった。
- 寒冷期でも床材追加、泥濘部搬出により発酵は維持できる(図1)。床材追加の目安として湿潤部割合40%程度が望ましい。
- 肥育豚の飼育密度は夏期では1.2㎡/頭、冬期では1.5㎡/頭が望ましい。
- バイオベッドにおける肉豚の肥育試験で、冬は通常豚舎より増体が良く、夏はほぼ同じであった(表)。枝肉格付成績は良好であった。
- バイオベッドにおいて繁殖用雌豚の育成は順調に経過し、繁殖成績は良好であった(表3)。
- 寄生虫性肝炎の予防には、床の予備発酵や導入前の駆虫とともに、農場全体の回虫対策により導入前の感染を防ぐことが重要であった。
- バイオベッドにおいて窒素・ミネラルのベッド下土壌への流亡は無いものと考えられた。
- 供用後のバイオベッドは堆肥として利用できる。再発酵は不要である。
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成果の活用面・留意点 |
- バイオベッドで年間を通じて肉豚飼育ができるほか、繁殖雌豚の育成期および妊娠期の飼育ができる。
- 豚舎を新増築する場合にバイオベッドによって糞尿処理施設の建設コストを軽減できる。
- 発酵状態が低下する冬期において泥濘部分の搬出と床材の追加で反転作業が省力化できる。
- 十分予備発酵させたバイオベッドを用い、豚導入後、適宜、攪拌や新しい床材の追加によって良好な発酵状態を保つようにする。
- 豚はバイオベッド豚舎への導入前に、駆虫薬と抗コクシジウム剤の投与を行う。妊娠豚については分娩前にも投薬を実施する。
[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分] 課題名:寒冷地における発酵床(「バイオベッド」)方式による豚の管理システムの確立(普及奨励)
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カテゴリ |
管理システム
コスト
省力化
低コスト
繁殖性改善
豚
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