タイトル |
大規模稲作経営における園芸作導入・定着の経営経済的条件 |
担当機関 |
北海道立中央農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
荻間 昇
原田 要
白井康裕
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発行年度 |
2000 |
要約 |
大規模稲作経営において園芸作を定着させるには、夏季兼業以上の収入を園芸部門から確保する必要がある。目標所得の実現には、長ねぎ作の場合、収穫調製作業の能率向上と栽培管理技術の習熟に合わせた漸進的な拡大が必要である。キャベツ作の場合、湿害対策等により夏どり作型の単収を安定させることが必要である。
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背景・ねらい |
大規模稲作経営(15ha)における複合的な園芸作の導入・定着を図るための経営経済的な条件を解明することで、米価下落による農業所得減少の補完対策に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 南空知における大規模稲作経営は、土木業などの不安定な兼業に従事する経営が多い。従って、園芸作を定着させるためには、少なくとも、夏季兼業以上の収入となる200万円を園芸部門から確保する必要がある。以下、目標所得を200万円として検討する。
- 長ねぎ作の定着条件(試算の前提:水田面積15ha、基幹労働力2人と補助労働力1人)
1)長ねぎ作の規模拡大は収穫調製作業の能率に規制される側面が強い。収穫調製作業が熟練し能率の高い経営では、作期を分散させることで年間70aの作付けが可能となり、目標所得に到達する(図1)。また、栽培年数が増すにつれてL規格率が高まることから、目標所得を超すことが可能となる。長ねぎ作の規模拡大には、収穫調製作業の処理能力と栽培管理技術の習熟に合わせた漸進的な拡大が望ましい。 2)収穫調製作業が未熟な段階では、共選場を利用し90aの作付けにすると、目標所得の確保が可能となる(図2)。熟練度が不足する新規参入の経営に長ねぎ作を定着させるためには、共選体制の整備と共選品の品質維持が必要となる。
- キャベツ作の定着条件(試算の前提:水田面積15ha、基幹労働力2人)
1)キャベツ作導入経営では、夏どり作型の単収に格差が生じている。目標所得を確保するには、夏どり作型の単収水準がAランク(350ケース以上)では1.2ha、Bランク(300~350ケース)では1.5ha、Cランク(200~300ケース)では3ha、Dランク(200ケース以下)では5.8haも要し、湿害対策等による低収改善が必要である(図3)。 2)小麦と大豆を優遇した転作制度の下でも、2haの作付面積とBランク以上の単収にあるならば、夏季兼業及び小麦と豆類のみの転作に比べて、キャベツ作導入の方が有利となる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
対象地域以外でも大規模稲作経営(15ha)における園芸作定着のための資料となる。 平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分 課題名:大規模稲作経営における園芸作導入・定着の経営経済的条件(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
規模拡大
キャベツ
経営管理
栽培技術
湿害
水田
ねぎ
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