タイトル |
育成期の粗飼料増給による肝膿瘍の低減 |
担当機関 |
北海道立畜産試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
川本 哲
出岡謙太郎
佐藤幸信
寒河江洋一郎
宮崎 元
森 清一
|
発行年度 |
2000 |
要約 |
乳用雄肥育牛に発生している肝膿瘍は、育成期の粗飼料給与量が少なく肝膿瘍が多発している混合給与方式の農家では、育成期の粗飼料増給により低減できる。
|
背景・ねらい |
乳用雄肥育牛に多発している肝膿瘍は粗飼料の給与方法及び給与量に起因する育成期の粗飼料採食不足が発生の一因になっていること、また、特に分離給与農家において育成牛は濃厚飼料を選択採食するため、粗飼料の採食不足になる可能性があることを昨年報告した。本試験では粗飼料給与量、給与方法、肝膿瘍発生率が異なる3戸の乳用雄肉牛農家において、育成期の粗飼料増給による肝膿瘍の低減効果を実証する。
|
成果の内容・特徴 |
- 育成期の粗飼料給与量が0.6~0.75kg(粗飼料給与割合、以下割合と略す10.2%)とホクレン飼養管理基準(1995)より少なく、肝膿瘍が43.6%(78/179頭)と多発していた混合給与方式の調査農家Aにおいて、肥育期の飼養管理を変更せずに、育成期の粗飼料のみを0.8~1.3kg(割合15.7%)に増給した結果、肝膿瘍発生率が33.2%(71/214頭)と、有意に減少した(p0.05、図1)。
- 育成期の粗飼料給与量が0.7~0.8kg(割合12.2%)と調査農家Aよりやや多いが、ホクレン飼養管理基準(1995)よりは少なく、肝膿瘍が31.5%(57/181頭)と平均的な発生であった混合給与方式の調査農家Bにおいて、肥育期の飼養管理を変更せずに、育成期の粗飼料のみを0.8~1.3kg(割合15.5%)に増給した結果、肝膿瘍発生率が27.4%(52/190頭)となった。しかし、増給前後に有意差はなく、顕著な低減効果はなかった(図2)。
- 育成期の粗飼料給与量が0.7~1.3kg(割合15.9%)と、ホクレン飼養管理基準(1995)程度で、肝膿瘍が40.7%(72/177頭)と多発していた分離給与方式の調査農家Cにおいて、肥育期の飼養管理を変更せずに、育成期の粗飼料のみを0.7~1.5kg(割合17.2%)に増給した結果、肝膿瘍発生率は41.3%(38/92頭)と低減効果はなかった(図3)。
- 以上の事例より、育成期の粗飼料給与量が少なく肝膿瘍が多発している混合給与方式の農家では、育成期の粗飼料増給により肝膿瘍が低減できるが、分離給与農家では濃厚飼料の選択採食による粗飼料の摂取不足が生じるため、育成期の粗飼料増給のみによる低減は難しいと考える。
|
成果の活用面・留意点 |
- 分離給与方式の農家では濃厚飼料を選択採食し、粗飼料の採食不足になるため、単に粗飼料の増給だけではなく、粗飼料採食量の増加方策の検討が必要である。
平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分 課題名:乳用雄肥育牛における肝膿瘍の発生要因解析(補遺) -育成期の粗飼料増給による肝膿瘍の低減-(指導参考)
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
飼育技術
肉牛
|