タイトル |
畑作物の輪作様式が収量の長期変動に及ぼす影響とその要因 |
担当機関 |
北海道立北見農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
今野一男
志賀弘行
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発行年度 |
2000 |
要約 |
連作および短期輪作では、各作物とも土壌病害虫の発生に伴って収量低下が認められる。収量の長期変動パタ-ンは作物によって異なるが、いずれも4年以上の長期輪作より低収で推移する。根菜類、麦類、豆類を組み合わせた4年以上の輪作は、土壌病害虫の発生が少なく、持続可能な輪作様式である。
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背景・ねらい |
持続的な畑輪作体系確立を目的として、連作および輪作を42年間継続したときの各種畑作物の収量推移および土壌理化学性、土壌病害虫などを調査し、収量変動要因を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 連作区の収量推移を6年単位でI期~VII期に区分し、4年輪作区(秋播小麦、いんげんは6年輪作区)との対比でみると、(1)I期に最も大きく減収し、その後は緩やかに回復して一定水準で安定(てんさい、えん麦)、(2)I期からIII期にかけて急激に減収するが、その後は速やかに回復し、ほぼ一定水準に達する(秋播小麦)、(3)一時的な回復もみられるが、全体としてみると長期にわたり低落傾向を示す(だいず、いんげん)、(4)僅かな収量低下が長期間続き、VII期になって大きく減収する(ばれいしょ)、の4タイプに分かれる(図1)。
- 2年輪作区では、てんさい、えん麦ともI期(最初の2~3巡目)の減収が大きく、その後はゆるやかに回復し、ほぼ一定水準に達する。3年輪作区の場合は、(1)I~II期(最初の2~4巡目)の減収が大きく、その後はやや回復傾向を示す(てんさい)、(2)最初はほとんど減収が認められず、II期(3巡目)以降になって減収傾向を示す(えん麦、だいず)、の2タイプに分かれる(図2)。
- 連作障害の要因としては、各作物とも土壌病害の影響が大きい(表1)。また、短期輪作についてもてんさいの2、3年輪作区とえん麦の2年輪作区の場合に土壌病害の関与が認められる。土壌理化学性については、酸性障害がてんさいで認められ、またホウ素、銅など微量要素の過不足も懸念されるが、これらはいずれも施肥対応で解決可能な事項と判断される(表2)。
- 輪作年限が4年以上の輪作様式は、各作物とも長期間にわたって土壌病害の発生が少ない。したがって、収量は輪作年限の長短よりも前後作の組み合わせや養分の過不足などの影響をより強く受ける。
- 以上より、輪作年限は土壌病害を回避する観点から4年以上を基本とする。根菜類、麦類、豆類を組み合わせた4年以上の輪作は、前後作に留意し、適切な土壌診断を行うことにより持続可能な輪作様式とみなされる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験は表層多腐植質多湿黒ボク土で実施、収穫残渣はばれいしょ以外はすべて搬出、耕起法は春ロ-タリ耕とし、耕起深は17cm以下の浅耕で実施した。
- 輪作年限の長短にかかわらず、土壌診断に基づく適切な施肥対応が必要である。
平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分 課題名:畑作物の輪作様式が収量の長期変動に及ぼす影響とその要因(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
害虫
小麦
施肥
大豆
てんさい
土壌診断
ばれいしょ
輪作
輪作体系
連作障害
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