ヒノキカワモグリガの幼虫密度の推定

タイトル ヒノキカワモグリガの幼虫密度の推定
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 岡部貴美子森林生物部昆虫管理研究室 吉田成章
九州支所昆虫研究室 佐藤重穂
牧野俊一
発行年度 1992
背景・ねらい ヒノキカワモグリガはスギやヒノキの内樹皮を食害して,村内に黒いシミ状の食痕を点々と残す穿孔性害虫であるが,これまでに詳しい生態が知られていなかった。しかし,国内の人工造林の大部分を占めるスギ・ヒノキ林の大半が主伐期を迎えつつあるため,材質を劣化させる穿孔性害虫の被害は重要視されるようになってきた。一般に穿孔性昆虫の幼虫は樹皮下や村内で生活しているために,正確な個体数を把握することが非常に困難であるが,害虫の生態と防除法について研究するには個体数を知ることが不可欠である。そこで,ヒノキカワモグリガの幼虫の個体数の推定法を開発する研究を行った。
成果の内容・特徴 ヒノキカワモグリガの幼虫は,若齢の時は枝の先端部近くの緑軸部を食べるが,成長するにしたがって枝の内樹皮,幹の内樹皮へと食害場所を移動する(図1)。冬期から春期は幼虫は幹の樹皮下を食害するが,幹での食害部位は幼虫が樹皮表面に排出する虫糞によって位置が分かりやすいので,幼虫を越冬前の11月から越冬あけの4月までに毎月3~11本のスギ試験木の幹に1頭ずつ接種して,何か所食害するかを調べた。ヒノキカワモグリガの幼虫1頭当りの摂食量を接種月ごとに比べると,おおむね接種時期が遅くなるほど加害面積が少なくなった(図2)。幼虫1頭当り1~5か所を食害したが,食害箇所数は接種時期と関係なく(図2),平均すると1頭当りの食害箇所数は2.27か所だった。この結果から,幼虫の個体数を推定する式を作成して,熊本県御船町の向原国有林のスギ林での幼虫密度の年による変化を表した(図3)。ここでは,調査木1本当りの推定幼虫数に林分の植栽密度をかけて,林分のha当り幼虫数を推定した。この推定によって,幼虫数は1990~91年の発生期に大きなピークを示すことが分かった。
ヒノキカワモグリガの密度推定法を開発したことで,被害地での発生密度が把握できるようになり,ヒノキカワモグリガの詳しい生態や被害量と虫密度との関係を調べることが可能になった。

図表1 212336-1.gif
図表2 212336-2.gif
図表3 212336-3.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 防除

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