| タイトル |
表面熱可塑化による木材の無接着剤熱圧接合 |
| 担当機関 |
森林総合研究所 |
| 研究期間 |
|
| 研究担当者 |
木材化工部耐候処理研究室 大越 誠酵素利用研究室 石原光朗
林 徳子
|
| 発行年度 |
1992 |
| 背景・ねらい |
木材を貼り合わせたり接いだりするとき一般に接着剤が用いられる。この際,木材成分と接着剤分子との間に化学的結合はほとんどなく,接着は主に機械的力(投錨効果)と分子間力によると考えられている。一方,木材成分の水酸基に化学修飾により各種置換基の導入を行うと,熱可塑性,溶剤可溶性といったプラスチックの性質を付与させることができる。本研究では,木材表面をアリル化して熱可塑化した後,熱圧縮することにより接着剤を用いることなく木材同士を直接結合することを検討した。直接結合がなされれば接着の耐久性の向上が期待される。
|
| 成果の内容・特徴 |
熱機械試験機によるアリル化木材の熱軟化曲線(図1)は,130℃付近に熱軟化による変位のピーク(熱軟化温度)を示している。種々の程度に脱リグニン処理した木材のアリル化物では熱軟化温度は変化しないものの,脱リグニン率の上昇とともにこの温度付近における変位量(熱軟化の程度)が小さくなる。木材中の結晶領域がアリル化により非晶化していることがX線回折測定で示された。これらの結果から,木材の熱可塑化はアリル化によるセルロースの非晶化により引き起こされ,アリル化されたリグニンが可塑剤として働いて軟化を増大させると考えられる。表面をアリル化した後熱圧接合した試験体の圧縮せん断接合強さは,反応条件(図2),熱圧条件により異なり,最大15MPaである。供試素材のせん断強さは平均15.6MPaであったので,この方法により十分な接合が得られていることが分かる。アリル化木材のR(赤外線吸収)スペクトルは熱圧前後で変化しなかった。これらの結果から,この接合にアリル基の二重結合は直接関与しておらず,接合は主に軟化により表面の分子同士が接近して生じた分子間力によるものと考えられる。次に,熱圧時に同時にアリル化木材表面にスチレンを共重合させて接合するとき,接合強さは最大13MPaであった。この接合試験体の温冷水浸せき試験(図3)で特に60℃温水浸せきの場合にスチレン共重合による耐水性の向上が見られる。ベンゼン抽出により接合強さは低下したが,抽出の際に剥離を生じることはなかった。導入したアリル基にスチレンがグラフトしていることがIR分析(図4)により示された。これらの結果から,この接合においてはスチレンを介して木材表面同士の間にある程度架橋が形成されていることが示唆される。
|
| 図表1 |
 |
| 図表2 |
 |
| 図表3 |
 |
| 図表4 |
 |
| カテゴリ |
|