断面の大きな製材品の乾燥技術の開発

タイトル 断面の大きな製材品の乾燥技術の開発
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 小林 功
久田 卓興
発行年度 1996
背景・ねらい 国産針葉樹造林木の成長につれて原木の直径が大きくなり、柱材一丁取り適木よりも太い木材の比率が増加しつつある。これらの木材の有効な利用方法としては、太いまま梁桁などの大断面製材品として、あるいは板に挽いて集成材等の原料とすることが考えられる。しかしながら大断面の製材品、とりわけ心持ち材は乾燥に際して割れが発生しやすく、しかも時間が非常に長くかかる。このため、これらの心持ち大断面製材品を少ない割れで、なおかつ短時間で乾燥する方法を研究した。
成果の内容・特徴 大断面製材品の乾燥法としては、長期間天然乾燥する方法が広く知られている。またその際に、心持ち材では割れが発生するので、これを防ぐために背割りが行われる。しかし、梁桁用材の場合は背割りは好ましくないので、より大径の材から心去り材を木取るか、あるいは割れを承知で使う方法が取られている。
この研究では、主として心持ちの梁桁用材を対象にして、これを割れなく乾燥する方法を検討した。乾燥方法としては、蒸気式の熱気乾燥法と高周波加熱式減圧乾燥法の二つを取り上げた。厚さ15cm、幅24cmのスギに対して、次のいずれの方法でも目的を達成することが可能であった。熱気乾燥では初めに約2日間、85~90℃の蒸煮を行い、その後70~90℃の範囲の適正な温湿度で30~50日間乾燥する。また、高周波加熱式減圧乾燥でも熱気乾燥と同じく、初めに90℃で20時間蒸煮を行い、その後圧力70Torrで3~5日間乾燥する。処理条件や乾燥日数は、乾燥材としての求められる品質によって変わるが、いずれの場合も心持ち材の割れ防止には、乾燥初期の蒸煮が極めて有効であることが明らかになった。
この技術の応用として、従来人工乾燥が難しかったカヤ碁盤材や、丸太に近いタイコ挽き材の乾燥についても研究を行った。カヤ碁盤材は通常は7~8年かけて日陰でゆっくり乾燥させるが、これを高周波加熱減圧法を使って約45日で乾燥することが可能であった。スギの皮付きタイコ挽き材は同じく高周波加熱減圧法で4~5日で乾燥することができた。これらの材はログハウス用や、あるいは挽き割ってそのまま接着するなどの新しい用途に利用できる可能性がある。
図表1 212429-1.gif
図表2 212429-2.gif
図表3 212429-3.png
図表4 212429-4.png
図表5 212429-5.png
カテゴリ 乾燥 くり

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる