スギの品種,家系,取り扱いの差による材質特性の把握

タイトル スギの品種,家系,取り扱いの差による材質特性の把握
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 藤澤 義武
平川 泰彦
太田 貞明
発行年度 1997
背景・ねらい スギはわが国の主要な造林樹種であり、1995年以降は国産材の製材用丸太生産量の50%以上をスギ材が占めるに至っている。しかし、他の造林樹種に比べて木材を利用する上での問題点が多いとされる。そこで、林木育種や施業技術による材質の改善策を講じるための基礎情報を得ることを目的に、家系やクローン(遺伝的要因)、生育する林分(環境的要因)、施業技術がそれぞれ異なることによってスギ材質がどのようにバラツキを生じるのかを検討した。
成果の内容・特徴 スギ材は主に建築用製材として利用されている。建築用製材としての材質と関係の深い木材の性質として容積密度、生材含水率、ヤング率を挙げることができる。これらの性質を対象として林木育種センターと共同で遺伝的、環境的な要因の影響を検定林から評価するとともに、植栽密度試験地から施業の影響を評価した。

検定林の解析結果では、容積密度、生材含水率、ヤング率は、家系やクローンの影響が大きく、これらの性質が遺伝的要因によって強く支配されていることが分かった(図1、図2)。このことは、林木育種の技術によって材質を効果的に改良できることを示す。しかし、特定の両親間からだけ優れた子供が得られる確率を示す「特定組み合わせ能力」が大きい場合があるので(図3)、実生では改良効果を確実に得るために特定の両親間で人工交配を行う等の配慮が必要になる。一方、クローンではいずれの性質もクローンの寄与率が高く、ヤング率では特に高い(図2)。さらにクローンのヤング率は、クローン間の変動係数は大きいが、同一クローン内では変動係数は小さかった。クローン間の変動係数と遺伝率の積が大きいほど育種による改良効果は大きい。従って、クローンでは育種による改良効果が大きく、しかも木材の性質が均一になり、この傾向はヤング率で顕著である(図4)。ヤング率は合理的な品質表示として「日本農林規格」に採用されており、育種と利用の双方において効果的な林質指標であるといえよう。

また、植栽密度を変えた試験地の解析結果は、植栽密度が高いほど年輪幅は狭くなり、容積密度は高くなる関係にあることを示した(図5)。このことは施業によって木材の性質を制御できる可能性を示唆するものである。しかし、植栽密度の変化に対するクローンの反応の差を示す交互作用はいずれの性質にも認められず(図6)、林木育種の成果と施業技術を組み合わせることでより効果的に材質を改良できる可能性を示す結果となった。
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カテゴリ 育種 品種

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