木材がもたらす快適性の生理的評価法とその実証例

タイトル 木材がもたらす快適性の生理的評価法とその実証例
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 宮崎 良文
大平 辰朗
松井 直之
発行年度 1998
背景・ねらい 木材に快適性増進効果があることは、経験的に知られている。しかし、これまでは、その評価法が未確立であることに起因して、科学的かつ実質的なデータの蓄積はなされてこなかった。本研究の目的は、人が五感を介して木材と接したときに感じる快適性の増進効果を数値によって客観的に表現する生理的評価法を確立すること、並びに、その手法を用いて快適感を解明した実験例を蓄積することである。
成果の内容・特徴 温度(24℃)、湿度(60%)、照度、気流を制御し、防音効果を有した人工気候室内において実験を行った(写真1)。各種の実験は、被験者として13~20名の男子大学生を使った。図1に今回、開発した快適性評価法の代表例を示す。生理応答を中心に主観評価を傍証として人の快適感を評価するシステムであり、生理応答は、脳波以外は1秒毎の連続測定を行う。

スギ材チップの香り物質は、(1)主観的には、快適で、自然であると評価されており、(2)収縮期(最高)血圧は低下し(図2左)、さらに、(3)近赤外線分光分析法による脳血流量も低下した(図2右)。これらの測定からスギ材の香りは生体に対して鎮静的に作用することが分かった。さらに、現在社会問題となっているホルムアルデヒドを吸入した場合の自律神経系の変化を図3に示す。実際の調査から家屋内に存在することが報告されている1.25ppmにおいて血圧は21%増加し、末梢血流量は72%減少するという典型的なストレス反応を生じた。図4に、森の音を聞いたときの主観評価と脳血流量の変化を示す。快適であると評価された「小川のせせらぎ」や「ウグイスのさえずり」によって、脳血流量は低下し、生体が鎮静的な状態になっていることが分かった。図5には、実物大の木目の多いヒノキ材壁面と白壁を作成し、その前に座った場合の主観評価並びに生理応答の変化を示した。感情プロフィール検査においては、ヒノキ材壁面で否定的な感情尺度(抑鬱等)が激少し、肯定的な感情尺度(活気)が増加した。白壁においては、逆に、否定的な尺度が増加し、「活気」が減少した(図5左)。また、収縮期(最高)血圧に関しては、ヒノキ材壁面を「好きである」と評価した場合、有意な低下が認められた(図5右)。

中枢神経活動、自律神経活動並びに主観評価の3面からの経時的連続評価によって人の状態を解釈し、数値に直して木材がもたらす快適性を表現できることが分かった。

なお、本研究は農林水産技術会議一般別枠研究「農林水産物の健康に寄与する機能の評価・活用技術の開発」による。
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カテゴリ 評価法

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