| タイトル | ブナ天然林で森林のセラピー効果を検証 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
恒次 祐子 森川 岳 香川 隆英 宮崎 良文 朴 範鎭 |
| 発行年度 | 2006 |
| 要約 | これまでに森林セラピープロジェクトでは24ヶ所の森で森林浴実験を行いました。その中で効果が顕著に表れたブナを中心とした天然落葉広葉樹林における実験を紹介します。血圧やストレスホルモン濃度の低下などが顕著に認められ、森林浴が生理的にリラックス効果、ストレス緩和効果をもたらすことを実証しました。 |
| 背景・ねらい | 平成16年度より「森林セラピープロジェクト」を展開し、全国の森で森林浴の生理的効果を検証する研究を行ってきました。平成18年度までに24ヶ所での実験が終了し、今後は計50ヶ所を目指してプロジェクトを推進しています。実際の森林環境におけるこのような大規模実験は世界でも例がなく、平成16年度に第1回を実施して以来、測定指標や実験デザインの改良を積み重ねながら研究を進めてきました。 ここで紹介するのは24ヶ所のうちの一例で、これまでに確立した実験方法を用いて森林浴の効果を検証したものです。 |
| 成果の内容・特徴 | 実験の概要山形県小国町にあるブナを中心とした落葉広葉樹天然林で12名の被験者に15分間の歩行(写真1)や座観(椅子に座って森林の景色を眺めること)をしてもらいました。また比較のために普段わたしたちが生活しているような都市部(JR新潟駅そばの繁華街)でも同じように歩行(写真2)と座観を行いました。測定している生理指標は心拍数、血圧、心拍変動性*、唾液中コルチゾール濃度*などです。この指標は屋外実験において測定可能なもの、そして森林浴の効果を適切に反映するものとして実験の積み重ねの中から絞り込まれてきたものです。 森林浴の生理的な効果座観後の最高血圧、最低血圧は森林部において都市部よりも低くなっていました(図1)。また、心拍変動性から求めた副交感神経活動*は森林で座観をした際に高まっており、体がリラックスしていることが分かりました(図2)。さらに唾液中コルチゾール濃度が、歩行後、座観後ともに森林部で低くなっており、森林ではストレスが和らいでいました(図3)。以上より、森林内で散歩をしたり、景色を眺めたりすることにより、リラックス効果やストレス軽減効果、つまりセラピー効果が得られることが実証されました。身近な森林でストレス解消本研究において確立した実験方法で、森林浴の生理的効果を実証することができました。またその効果は15分でも得られる可能性が示されました。日常の空いた時間に近くの公園で景色を眺めるだけでもセラピー効果が得られる可能性があるということです。森林のセラピー効果は、景色、におい、温度、音などの複合的な組み合わせによりもたらされるものと推測しています。また、小さい頃の思い出や、いわれのある森に対する思い入れなど、個々人の記憶や価値観によっても効果が異なるものと考えられます。 森林浴の効果は、特定の病気を治すのではなく、体全体の抵抗力を高め病気になりにくい体を作るものです。誰もが個人に合わせたセラピーメニューに基づいて森林浴の効果を享受できるよう研究を進めます。 本研究は、農林水産技術会議受託費「森林系環境要素がもたらす人の生理的効果の解明」ならびに(社)国土緑化推進機構受託費「森林セラピー基地における生理的効果の解明」による成果です。また、本研究は(独)森林総合研究所疫学研究倫理審査委員会の承認を得て実施されています。 詳しくは:Tsunetsugu Y. et al. (2007) Journal of Physiolgical Anthropology 26(2):135-142 をご覧ください。 *心拍変動性;心拍の間隔は一定ではなく、この間隔のゆらぎを周波数解析することにより、自律神経系の活動を交感神経系と副交感神経系に分けて評価することが出来ます。 *唾液中コルチゾール濃度;コルチゾールはストレス時に分泌が高まるホルモンで、唾液を採取してコルチゾールの濃度を調べることにより、その人のストレス状態が分かります。 *副交感神経活動;自律神経系は交感神経系と副交感神経系から成り立っており、一般にリラックス時には副交感神経系の活動が高まります。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| カテゴリ |
| 亜寒帯北部のカンバ林の枯損被害のモニタリング |
| 森林からの自然の恵みの未来予測 |
| 木材がもたらす快適性の生理的評価法とその実証例 |