木質系内装材料を建築材料に再利用

タイトル 木質系内装材料を建築材料に再利用
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 渋澤 龍也
発行年度 1999
要約 木質系内装材料を、新たにパーティクルボードにリサイクルするための製造条件を検討した。加工エネルギーの少ない破砕エレメントのみを原料とすると強度が落ちるが、切削エレメントを混合することにより、JIS8タイプを満足するパーティクルボードが製造できた。
背景・ねらい 住宅やオフィスの快適性・耐久性の向上を図って、化学処理や異種材料との複合化により新しい機能を付与した木質系内装材料の利用が増えている。木質資源の有効利用および地球環境保全の観点から見ると、これらの内装材料をリサイクル利用し、再資源化することが重要であるが、その方法は確立していない。パーティクルボードとは、木材を小片に加工して圧縮成型した板材料で、建築物の床や家具に多く使用されている。そこで、木質系内装材料を再び建築材料としてリサイクルすることを目的として、木質系内装材料の廃棄物からパーティクルボードを製造する際の環境負荷の低い加工・製造条件および製品性能について検討した。
成果の内容・特徴 通常、パーティクルボードの構成要素(エレメント)は、木材チップを刃物により切削することで加工されるが、廃棄物由来の原料は乾いていること、異物の混入があることから、切削加工に適していない。そこで、刃物を使用せず、エネルギー消費の少ない加工方法である破砕加工を取り上げ、木質廃棄物を原料としたパーティクルボードを製造し、エレメントのサイズと加工方法の違いが製品性能に与える影響について検討した(図1)。

建築物の床には鉛直方向の力が加わるため、折り曲げる力に対する強度性能(曲げ強さ)が要求される。また、木質系材料は湿度の影響で膨張・収縮による寸法変化をしてしまうため、寸法変化のしにくさ(寸法安定性能)も重要である。エレメントのサイズと加工方法によらず、製造した全てのパーティクルボードで、その密度が高いほど曲げ強さは増大するが、厚さ膨張率も増加(寸法安定性能は低下)する傾向が見られた(図2)。破砕エレメント(HM)を用いて製造したパーティクルボードの場合、エレメントのサイズが小さいほど曲げ強さは高くなるが、寸法安定性能は低くなる傾向が見られた。切削エレメント(RF)によるボードと比較すると、いずれのサイズでも十分な性能は得られなかった。そこで、最もサイズの小さい破砕エレメント(S)からダスト分を除去して切削エレメントと同じサイズにしたエレメント(S(L))を用いると、切削エレメントと同程度の曲げ強さが得られたが、寸法安定性能は改善されなかった。

破砕エレメントを用いたパーティクルボードの強度性能と寸法安定性能の両者を向上させるために、最適な製造条件を決定する性能設計法を考案した。強度性能を向上させるため、破砕エレメントに切削エレメントを混合し、寸法安定性能を向上させるため、細かいエレメントを表層に配置した3層構造とした。3層パーティクルボードの性能が、切削エレメントと破砕エレメントの混合率および表層比率に関する複合則に従うと仮定し、性能の予測値を算出した。強度性能(図3)、寸法安定性能(図4)ともに予測値と実測値は良い一致を示し、破砕エレメントの重量混合率が75%以上であっても、表層比率を60%とすれば、JIS規格8タイプ基準値を満たした。この設計法を用いれば、廃棄物を環境負荷の低い方法で加工した原料を用いて、通常のパーティクルボードと同等の性能を持つ製品を製造することができる。

なお、本研究は農林水産技術会議特別研究「新機能性木質系内装材料の開発」による。
図表1 212502-1.gif
図表2 212502-2.gif
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図表4 212502-4.gif
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カテゴリ 加工 機能性

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