タイトル | -スギの高速乾燥-(1)スギ心持ち材の乾燥割れを防ぎ、速く乾かす方法を開発 |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
小林 功 石川(本田)敦子 黒田 尚宏 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 住宅建築工法の変化によって、針葉樹心持ち柱材についてこれまで考えられなかったほどの高速乾燥が求められるようになりました。温度を高くすれば速く乾燥できますが、割れ、変色等の問題が起こります。これらを解決する新しい乾燥処理方法を開発しました。 |
背景・ねらい | スギ材の主な用途は柱材や造作材等の住宅建築向けで、かつては熟練の大工さんが未乾燥材を現場で寸法合わせをして時間をかけながら家を建てていました。現在は工場において部材の加工や組み立てを行うので、加工後に寸法が狂わないように前もって乾燥処理を施す必要があります。スギ丸太の含水率は他樹種と較べて高く個体差も大きいので製材品の乾燥処理には時間がかかり、その結果乾燥コストが高くなります。また、柱材や桁材の多くが割れやすい性質の心持ち材であるのも問題です。そこで、心持ち材であっても割れが生じないようにする処理方法や、より短時間で乾燥するための処理方法を開発しました。 |
成果の内容・特徴 | 材面の割れ防止心持ちの柱材を自然に乾燥させると、材面に大きな割れが発生します。自然乾燥する前に、写真1に示すような熱処理装置を用い、100℃以上の高温で湿気を含む雰囲気(過熱蒸気)の中でごく短時間の熱処理をしたところ、図1に示すように自然乾燥中に生じる材面割れの発生を防止することができました。この割れ防止の効果は、高温での乾燥処理によって材面に寸法変化の固定(ドライングセット)が生じることによるものです。乾燥時間の短縮次に、図2に示すように、温度130℃で、圧力を制御することによって湿度を100%から徐々に下げながら、含水率が十分に低くなるまで乾燥する場合、初期の含水率が90%程度の柱材でも約3日で仕上がることが分かりました。しかも、材内部にも材面にも割れがほとんど認められませんでした。一般に普及している蒸気式乾燥法(乾燥温度80~90℃)の標準乾燥日数は10~14日ですから、この方法によれば乾燥時間を1/4に短縮できるわけです。しかし、写真2に示すように、このような高温下での処理では変色(暗色化)が著しく、材の劣化も危惧されますので、処理材の用途は限られることになるでしょう。過度の劣化の抑制急速乾燥法の一つとして減圧乾燥法が一般的に知られていますが、これによると写真3に示すように変色は少ないのですが表面割れが多く発生してしまいます。そこで、乾燥時間の短縮を図りつつ、割れを抑制し、同時に過度の変色を抑えるため、図3に示すような過熱蒸気による短時間の高温熱処理と減圧乾燥とを組み合わせた乾燥処理を行いました。これによると、割れは少なく、乾燥時間も4~5日と短く、写真4に示すように過度の変色を抑制することができました。本研究は交付金プロジェクト「スギ材の革新的高速乾燥システムの開発」による成果です。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
図表6 | |
図表7 | |
図表8 | |
カテゴリ | 加工 乾燥 コスト |