市販木竹酢液中に含まれるホルムアルデヒド含有量の実態解明

タイトル 市販木竹酢液中に含まれるホルムアルデヒド含有量の実態解明
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 大平 辰朗
松井 直之
発行年度 2006
要約 特定防除資材として指定が留保されている木竹酢液の安全性を確認するために、市販木竹酢液に含まれるホルムアルデヒド含有量の実態を網羅的に調べました。
背景・ねらい 平成15年に農薬取締法の改正が行われ、農薬効果を有する薬剤で安全性が明らかなものは「特定防除資材*」として扱われることになりました。木竹酢液*はJAS規格で有機農産物生産用の土壌改良材として認められていますが、ホルムアルデヒドの含有量が問題となり特定防除資材への指定が保留されています。木竹酢液の特定防除資材への指定を早急に実現するためには、ホルムアルデヒド含有量の実態を把握することが不可欠です。そこで本研究では、現行の木竹酢液の規格に合致している市販木竹酢液60種に含まれるホルムアルデヒド含有量の実態を解明しました。
成果の内容・特徴

木竹酢液中のアルデヒド類

写真1にあるように木竹酢液は原料や作り方が異なると様々な色の液になり、含まれる成分も大きく変動します。木竹酢液中にはいろいろな種類のアルデヒド類が含まれています。図1は木竹酢液中で検出された主なアルデヒド類の代表的な割合を示しています。ホルムアルデヒドが最も多く、次いでトルアルデヒド、フルフラールなどが多く含まれています。ホルムアルデヒドが最も多いことは共通していました。

木竹酢液中のホルムアルデヒド含有量の実態

60種の市販木竹酢液中に含まれるホルムアルデヒド含有量の測定結果を表1、2に示します。木酢液中のホルムアルデヒドの含有量の平均値は274.5ppm、竹酢液の場合260.4ppmであり、木酢液の方がわずかですが多いという結果でした。蒸留したものは木、竹酢液ともに未蒸留のものに比べて、少ない結果でした。木竹酢液の特定防除資材への指定が保留されている理由は、製品の規格化が行われる前の木酢液の中にホルムアルデヒド含有量が極めて多い例(3000ppm)があったためです。また現行の規格に合致した木竹酢液中のホルムアルデヒド含有量の実態が不明であったことも理由の1つです。規格化された市販品を調べてみると、多くても602ppmであり、60種の平均値は267ppmであることがわかりました。問題視されているような極端に多い含有量は、むしろ特殊な例であったのではないかと考えられます。

木竹酢液から揮発するアルデヒド類

木竹酢液から揮発するアルデヒド類の代表的な割合を図2に示します。ホルムアルデヒドの揮発物中の割合は、それほど多くなく、むしろ含有量の少ないアセトアルデヒドが多く揮発していることがわかります。この結果はホルムアルデヒドは液中の含有量は多いが、液から揮発して気中に出て行く量は少ないことを意味しています。このことは実際のハウス栽培などで木竹酢液を使用した時に、ホルムアルデヒドの揮発する割合が多くないことを示唆しています。

本研究は、一般研究費「樹木抽出成分の機能、作用機構及び機能性材料への変換法の解明」による成果です。

*特定防除資材;改正農薬取締法では、新たに無登録農薬の製造や使用を禁止したため、農作物の防除に使う薬剤や天敵で、安全性が明らかなものにまで農薬登録を義務付ける過剰規制とならないように、特定農薬という仕組みを作りました。この特定農薬をわかりやすく表現するために「特定防除資材」と呼んでいます。
*木竹酢液;木材や竹を原料に炭焼きを行うと煙が発生しますが、その煙は冷却されると液体になり、しばらく静置すると2層にわかれ、下層部を木タール、上層部を木竹酢液と呼んでいます。
図表1 212689-1.jpg
図表2 212689-2.jpg
図表3 212689-3.gif
図表4 212689-4.gif
カテゴリ 病害虫 有機農産物 機能性 特定農薬 土壌改良 農薬 防除 薬剤

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