| タイトル | 谷頭斜面*の流出特性 -「あめふりくまのこ」は何を見たか?- |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
坪山 良夫 |
| 発行年度 | 2006 |
| 要約 | 水源となる源流域で一時的に生じる流出の特徴を調べた結果、普段は水が流れていない谷でも、常に水が流れている場所より、単位面積あたりでは多くの流出が生じる場合のあることがわかりました。 |
| 背景・ねらい | 「あめふりくまのこ」という童謡に、山に雨が降り続いたら小川ができたという話が出てきます。童謡に歌われるぐらいに身近な現象のはずですが、いつどれくらいの流出が生じて小川となったか、それほど詳しくは調べられていませんでした。なぜなら実際の山で行われる流出の調査は、どちらかといえば常に水が流れている渓流を対象にすることが多いためです。新たな小川の発生はその場所にあった色々な物質を “洗う” 効果もあるので、水の量ばかりでなく質の面でも下流の河川へ影響を与えると考えられます。そこで、水源となる源流域で一時的に生じる流出の特徴を調べました。 |
| 成果の内容・特徴 | 実際に測ってみると茨城県北部のスギ・ヒノキ林の流域(図1)を対象に、流域の出口(HB)、湧水点*直下(HA)、そして普段は水が流れていない谷頭斜面の出口(HZ)の計3箇所で流出を測定しました。その結果、湧水点直下(HA)の比流量*は、流域全体(HB)の比流量と、一年を通じてほぼ1:1の関係を保ちながら変化しているのに対して、谷頭斜面(HZ)の比流量はゼロから流域全体の比流量を上回るまで幅広い変化を示すことが判りました(図2)。これは、単位面積あたりの水流出量で比較すると、普段は水が流れていない谷で、常に水が流れている場所よりも多くの流出が発生する場合のあることを示しています。そのわけは一時的にせよ、谷頭斜面でそれほど大きな流出が生じるのはなぜでしょうか。谷頭斜面内の水の動きを詳細に調べた結果、それは地中に現れる一時帯水層*の動きと密接に関わっていることが判りました。すなわち、乾燥している時は一時帯水層の発生は斜面下端に限られ、降雨のごく一部しか流出しないのに対して、湿潤な時は一時帯水層が斜面上部まで発生するのに加え、谷頭斜面ならではの特徴として、上部の扇形の地形の影響によって、より多くの水が一時帯水層に集まるようになるため流出が飛躍的に増加することがわかりました(図3)。これからの課題とうとうと流れる大河の一滴も、もとを辿れば流域源頭にある無数の谷頭斜面の一つから流れ出た水かもしれません。ここでは一時的な流出が発生する場所として焦点を当てましたが、谷頭斜面は活発な土砂生産場としても知られています。流域内のどのような場所で流出が発生しやすいのか、あるいは、どのような場所なら流出が途切れなく生じるのかという点が、これからの課題です。詳しくは:坪山良夫 (2006) 森林総合研究所研究報告 5(2):135-174 をご覧下さい。 *湧水点;水が湧いている、あるいは湧き出る場所のことです。 *比流量;河道のある地点を単位時間あたりに通過する水の体積を集水面積で割って、単位面積当たりに換算した値です。 *谷頭斜面;谷の最上流部にある扇状の凹地形のことです。 *一時帯水層;土壌と基岩の境界面などに一時的に発生する水体です。いわば地中の水たまりです。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | 乾燥 |
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