アジアにおけるタワーフラックス観測サイトの現状分析と観測精度向上の取り組み

タイトル アジアにおけるタワーフラックス観測サイトの現状分析と観測精度向上の取り組み
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 大谷 義一
溝口 康子
高梨 聡
中井 裕一郎
安田 幸生
発行年度 2008
要約 地球観測の国際的な統合化の一貫として、アジア地域の50ヶ所以上の森林のCO2吸収量のタワー観測サイトの情報整備を進めるとともに、観測精度の比較・向上のために必要なポータブル観測システムを開発するなど、アジア観測網体制の強化に貢献しました。
背景・ねらい 地球温暖化を緩和する世界的な取り組みの一環として、陸域生態系の二酸化炭素吸収量観測がネットワーク化され、現在50を超えるアジア地域の森林サイトで、微気象観測タワーを用いた観測(タワーフラックス観測)が行われています。これらの観測成果に関する情報交換、観測に携わる研究者間での最新の情報共有、そして、政策決定者、国民や研究者などのデータユーザを想定したデータ公開に向けて、観測に関わるさまざまな情報の整備とデータ精度向上への取り組みが必要となっています。
このような背景から、森林総合研究所では、今後のデータ利用とアジアにおける観測網の展開を効率的に行うために必要な、アジア地域における観測サイトの現状分析を行うとともに、二酸化炭素吸収量観測値の信頼性を向上するための、比較観測用ポータブルフラックス測定システムを開発しました。
成果の内容・特徴

アジア地域のタワーフラックス観測の現状把握

わが国を含むアジア地域の森林におけるタワーフラックス観測サイトは、熱帯(ケッペンの気候区分A)、温帯(同C)、寒帯(同D)の気候帯に分布し(図1)、森林タイプとしては、常緑性と落葉性の針葉樹林および広葉樹林にあります。観測期間が1年以上のサイトは少なくとも51カ所(そのうち、10カ所は測定終了)存在し、その多くのサイトで森林の二酸化炭素吸収量が観測されていました。その中で、温暖で夏季に多雨、冬季に乾燥する気候下で成立する温帯の常緑広葉樹林(照葉樹林)は、観測地点数が極端に少ないことがわかりました。照葉樹林はアジアを代表する森林タイプであり、今後の観測網の展開において充実が求められます。

ポータブルフラックス測定システムの開発

本研究で開発したポータブルフラックス測定システム(以下、ポータブルシステム)は、閉光路型の赤外線ガス分析計、超音波風速温度計、温度・湿度計、高速サンプリングが可能なデータロガー、赤外線ガス分析計を定時的に校正するための大気吸引経路切り替え器などで構成され、携帯ケースと一体化したことにより、タワーへの携行と設置を容易に行うことができます(図4)。実用化に向けた最終的な性能試験に続き、実際の比較観測試験を富士吉田試験地で実施しました(図3)。その結果、ポータブルシステムと経常のタワーフラックス観測システムによる二酸化炭素フラックス測定値の違いは5%以下に収まりました(図2)。このポータブルシステムは、今後、アジア地域のサイトでの比較観測に使用され、観測精度の向上に寄与することが期待されます。

本研究は文部科学省科学技術振興調整費「次世代のアジアフラックスへの先導(平成17-19年度)」による成果です。この研究プロジェクトでは、タワーフラックス観測サイトの現状把握やポータブルシステムの開発のほか、農業環境技術研究所、国立環境研究所、産業技術総合研究所と連携して、アジア地域で活躍する研究者向けのトレーニングコースの開催、国際ワークショップの開催や、アジアフラックス・データベースの公開を行いました。

詳しくは、アジアフラックスwebページ http://www.asiaflux.net/ をご覧下さい。
図表1 212701-1.jpg
図表2 212701-2.jpg
図表3 212701-3.jpg
図表4 212701-4.gif
カテゴリ 乾燥 データベース

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