| タイトル | 化石花粉が明らかにするシベリアタイガの歴史 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
志知 幸治 河室 公康 高原 光 長谷 義隆 牧 武志 三好 教夫 |
| 発行年度 | 2008 |
| 要約 | シベリア南東部バイカル湖の湖底堆積物に含まれる化石花粉を調べた結果、過去35万年の間に1万年間はマツ属・トウヒ属・カラマツ属を主とするタイガが広がり、その後10万年間はタイガが消失するサイクルを繰り返してきたことを明らかにしました。 |
| 背景・ねらい | 地球温暖化が植生分布に及ぼす影響を評価・予測することは今後の大きな課題の一つです。とりわけ、大きな炭素ストックを持つシベリアタイガに対する温暖化の影響を評価することが世界的に注目されています。気候変化に対する森林分布の変化を予測するためには、地質年代に及ぶ過去の気候と植生の関係を明らかにすることが有効な手段の一つと考えられます。 本研究では、シベリア内陸部のバイカル湖から掘削した湖底堆積物試料を用いて、その中に含まれている化石花粉の種類と量を調べることにより、過去35万年間のシベリアタイガの歴史を明らかにしました。また、長期間の植生変遷に対する流域からの炭素供給量の変化について検討しました。 |
| 成果の内容・特徴 | バイカル湖湖底堆積物の花粉分析シベリア南東部に位置するバイカル湖は、第三紀・漸新世以来、約3000万年の歴史を持ち、常に水を湛えていたことから、湖底にはその間の堆積物が連続してたまっています。現在、地中の氷が一年中溶けない永久凍土がみられるバイカル湖の北部にはカラマツを主とする亜寒帯針葉樹林(タイガ)が、永久凍土が不連続な南部にはシベリアマツ、シベリアモミ等を主とするタイガが分布しており、バイカル湖北部付近がその境界となっています。このため、バイカル湖は過去長期間の気候変動と森林分布の関係を復元するための最適な場所といえます。今回はバイカル湖の二カ所から湖底堆積物試料を掘削し(写真1、図1)、過去約35万年間(第四紀・中期更新世以降)の化石花粉(写真2)の種類と量を調べました(花粉分析)。過去35万年間の植生変遷バイカル湖周辺では約10万年周期でマツ属、トウヒ属、カラマツ属を主とするタイガに覆われましたが、それは1万年ほどしか続かず、大半の時期は草本類が主体のツンドラ植生やほとんど植生のない状態が広がっていました。さらに、この10万年周期の中にも、いくつかの寒冷期と温暖期があったことが知られており、それに対応してタイガの縮小と拡大を繰り返していました(図2)。このことは地球規模での気候と植生変遷の周期性を示すものであり、本研究はシベリアにおいて植生変遷の周期性を示した初めての報告です。また、バイカル湖の北部地域と南部地域では温暖期の森林の広がりに違いがあり、山岳氷河の拡大が顕著であった北部では南部に比べて森林の拡大が限定的であったことも明らかになりました。植生変遷に対する流域からの炭素供給量の変化北部地域の植生変遷(図2a)をBDP96コアの全有機炭素含有率の変化(Matsumoto et al. 2000、図2d)と比較すると、タイガに覆われた時期には全有機炭素含有率が多く、逆にタイガに覆われなかった時期には少なくなっています。バイカル湖という広大な流域で見た場合、温暖期に植生が拡大したことによって、流域から多くの炭素が湖に供給されたことがわかりました。こうした知見は、今後の気候変化やタイガの変遷を予測するための重要な検証データとなります。 本研究の一部は、科学技術振興調整費(1995-1999)「バイカル湖の湖底泥を用いる長期環境変動に関する国際共同研究」および一般研究費によって行われました。 詳しくは、Shichi et al (2007) Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology 248:357-375 をご覧ください。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| カテゴリ | ストック |
| 空間情報技術による山岳アジア焼畑生態系の土地利用履歴と炭素ストックの広域評価 |
| 秋切りストックの直まき栽培における全量基肥施肥法 |
| 稲作の全要素生産性による圃場整備の総合評価手法 |