| タイトル | 大面積皆伐の対策はどうあるべきか? |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
鹿又 秀聡 野宮 治人 宮縁 育夫 |
| 発行年度 | 2009 |
| 要約 | 大面積皆伐の発生要因、皆伐後の植生回復、災害発生ポテンシャルの調査・分析の結果を基に、皆伐地の把握、作業計画の提出、改善計画の提案、低コスト育林への助成、環境に配慮した伐出の奨励の5項目を骨子とする大面積皆伐対策のガイドラインを作成しました。 |
| 背景・ねらい | 森林所有者の林業に対する関心は、木材価格の低迷・林業採算性の悪化により、低下しつつあります。一方、国産材価格の下落、人工林資源の成熟化を背景に、大規模な国産材加工施設を持った製材工場が増えています。この結果、南九州では木材の搬出コストを抑えるために、大型機械を使用して一度に広い面積の森林を伐採するケースが増えています。また、伐採後の植林には多額の費用がかかるため、植林を行わない事例(皆伐未植栽地)が多く見られます。皆伐未植栽地は、持続可能な林業経営や資源の再生を止めるだけでなく、森林の多面的機能が低下する恐れもあります。そのため公的関与を含めた伐採跡地の整備及び伐採に対する規制が緊急の検討課題となっています。そこで、私たちは大面積皆伐対策のあり方について研究を行いました。 |
| 成果の内容・特徴 | 大面積皆伐と土砂流出の関係森林の公益的機能には、土砂流出防止機能があります。そのため、「大規模な皆伐は大規模な土砂災害を起こすのでは?」という不安を周辺に住む住民が持ったとしても不思議ではありません。そこで、球磨川流域を中心に、大規模伐採と土砂流の関係について調査を行いました。その結果、現時点では、大規模伐採が原因による大規模な崩壊は認められませんでした。伐採面積の規模ではなく、粗雑な計画で作られた高密な作業路が原因による土砂流出が多く見られました。こうした場所では小規模な土砂流出が長期に渡って続くこともあります。再び森林に戻るのか?植林を放棄された伐採地はどうなるのでしょうか?シイ・カシ類を中心とした自然に近い森林へ速やかに再生することを期待しますが、現実にはなかなかうまくいきません。皆伐後の森林再生には前生稚樹の存在が重要です。しかし、シカが高密度に生息する地域では、シイ・カシ類の実生更新は期待できないことが分かりました。また、南九州において標高が700mを超える地域では皆伐後にススキ型植生になる可能性が高いことも分かりました(図2)。自然植生を利用した植生回復を期待するならば、主伐時に前生稚樹を損なわない工夫が必要であるとともに、人工林内に前生稚樹を蓄積するような森林管理を行う必要があること、場所によっては、シカ対策を十分に施さない限り、森林への回復が困難であることが、明らかとなりました。対策方法は?大面積皆伐の後の再造林放棄や伐採地での災害発生等に対して、自然科学的な側面からの分析に加えて、林業経営を巡る社会経済的状況を制度面から分析して総合的に対策を講じる必要があります。例えば、熊本県では、植林が放棄された更新困難地の一部に森林環境税を投入して、土砂流出対策の工事や広葉樹植林を行っています(図3)。大規模な皆伐が行われる前に、行政が作業道の開設計画や伐採後の更新計画に問題がないかチェックし、適切な対応を行う仕組みがあれば、こうした税の負担を少なくできると考えられます。しかし、熊本県の球磨川流域にある10ha以上の皆伐未植栽地を調査したところ、約8割が法律で定められている伐採の届出をしていませんでした。今後、森林所有者に届出を出すことを周知徹底するとともに、公益的機能が高く、伐採後更新が困難な森林に対しては、森林環境税による林地購入も検討すべきと思われます。森林所有者が植林を行わない要因は、木材価格が低迷していることはもちろんですが、植林にかかるコストが高額であることも挙げられます。今後、低コストで森を作る技術の開発を進めていくことも重要な課題となるでしょう。本研究は、交付金プロジェクト「大面積皆伐対策についてのガイドラインの策定」による成果です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | 加工 経営管理 コスト シカ 低コスト |
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