木製のガードレールや遮音壁のための耐久設計・維持管理指針案

タイトル 木製のガードレールや遮音壁のための耐久設計・維持管理指針案
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 木口 実
原田 寿郎
大村 和香子
西村 健
松永 浩史
片岡 厚
桃原 郁夫
長尾 博文
加藤 英雄
井道 裕史
原田 真樹
末吉 修三
森川 岳
青井 秀樹
青木 謙治
宇京 斉一郎
杉本 健一
軽部 正彦
久保島 吉貴
渋沢 龍也
神谷 文夫
有馬 孝禮
飯村 豊
上杉 基
柴田 直明
吉野 安里
小黒 正次
町田 初男
金丸 和生
張 日紅
発行年度 2009
要約 木製道路施設の問題点であるシロアリや腐朽菌による生物劣化の防止や退色防止等の美観保持のため、環境に配慮した耐久設計・処理法と非破壊検査による劣化度評価手法を開発し、木製道路施設の設置に必要不可欠な耐久設計・維持管理指針案を示しました。
背景・ねらい 平成10年に防護柵設置基準が改正され、それまで不可能であった木製防護柵の設置が可能となり、現在では林道などを中心に全国で延べ50kmを超える道路に設置されています(写真1)。木製遮音壁についても、高速道路や幹線道路などで試行的に設置され、各高速道路会社や都道府県などで受け入れ態勢が進んでいます(写真2)。このような木製道路施設は、安全性や遮音性はもとより、景観にマッチしたアメニティ効果や環境負荷低減といった新しい特徴を持つことから、国産材の需要拡大や間伐材利用対策等において今後非常に大きな需要が期待されています。しかしながら、木製道路施設はシロアリや腐朽菌による生物劣化や美観保持などが問題となっており、木製道路施設の維持管理基準の策定が強く求められています。
成果の内容・特徴 以下の研究成果を用いて木製道路施設の維持管理基準を策定しました。
  1. 木製防護柵の目視判定による劣化度と破壊荷重との関係を解明した結果、劣化度1~2程度では実車衝突性能確認試験でも十分な衝突抵抗性能をもっていました(写真3、図1)。
  2. 木製防護柵の非破壊劣化度判定手法として、目視評価の他ピン打ち込み深さ、超音波あるいは応力波伝播速度、固有振動数を検討し、劣化状態と強度との関係を明らかにしました。
  3. 設置後5~8年を経過した木製遮音壁は、コンクリート製遮音壁と同水準の遮音性能がありました。また、20年以上経過した木製遮音壁は部材自体に問題はありませんでしたが、隙間の発生により遮音性能の低下がありました。これについては設計の工夫による防止方法を提案しました。
  4. 木製遮音壁上部に笠木を設置することで劣化を大幅に低減できることが明らかになりました。
  5. 木製道路施設の耐久性を確保するには薬剤注入による保存処理が不可欠であり、薬剤は木材を適切に乾燥し木材表層の平均含水率を30%以下まで下げてから注入することで腐朽しやすい辺材部全面に薬剤が行き渡ることが確認できました(写真4)。
  6. 美観の保持には塗装処理が重要であり(写真5)、塗装の耐候性は銅系保存薬剤の注入処理との組み合わせによって塗り替え期間が大幅に延長できることが分かりました。
以上の知見と開発した手法を基に、既存の道路施設管理指針等の調査結果を踏まえて、新しい「木製道路施設の耐久設計・維持管理指針案」を策定しました。これによって、木製道路施設の耐久設計と維持管理に対する信頼性が高まり、簡易な日常点検により維持管理が適切に行えるようになります。木製道路施設の開発・設置を検討している都道府県・市町村に本指針案を提供することによって、木製道路施設の使用が一層促進されることが期待されます。

本研究は、農林水産省農林水産技術会議事務局先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(農林水産政策を推進する実用技術開発事業)「木製道路施設の耐久設計・維持管理指針策定のための技術開発」による成果です。
図表1 212742-1.jpg
図表2 212742-2.jpg
図表3 212742-3.jpg
図表4 212742-4.gif
図表5 212742-5.jpg
図表6 212742-6.jpg
カテゴリ 環境負荷低減 乾燥 需要拡大 抵抗性 防護柵 薬剤

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