| タイトル | 森林の炭素固定量の変動予測に向けたシミュレーションモデルの開発 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
千葉 幸弘 韓 慶民 川崎 達郎 家原 敏郎 細田 和男 西園 朋広 田中 邦宏 |
| 発行年度 | 2009 |
| 要約 | 温暖化などの気象要因と間伐施業などの森林管理の違いが、人工林の炭素固定能に及ぼす影響を評価するため、スギ・ヒノキの収穫試験地での実測データを分析し、炭素固定量の変動予測のためのモデルを開発しました。 |
| 背景・ねらい | 森林が固定する炭素量は光合成量と呼吸量の差し引きで決まりますが、光合成や呼吸の量は温度などの気象条件によって変化します。また光合成を担う葉の量によっても炭素固定*は変化しますが、森林の葉量は間伐の仕方で変化します。つまり森林による炭素固定量を知るためには、気象条件のほかに間伐など森林施業の影響も考慮する必要があります。本研究では、スギとヒノキの人工林における炭素固定量に対する環境変化と森林施業の効果を区別して評価するため、森林の構造や成長のモデルに加えて、光合成などの生理的な環境応答を組み込んだ森林の炭素固定に関する評価モデルの開発を進めてきました。そして、森林が置かれている気象要因、土地条件、森林管理の仕方などの様々な要因を考慮して、成長調査データから、炭素固定量の変動を予測する手法を開発しました。 |
| 成果の内容・特徴 | 森林の成長と環境応答のモデルスギやヒノキなどの人工林のバイオマス成長*は、植栽密度や間伐パターンに左右されます。そのため、植栽密度や間伐パターンに応じて変化するバイオマス成長や葉量の垂直分布などの林分構造をシミュレートできる人工林成長モデルを開発しました(図1)。また気象条件の影響を受ける光合成や木部器官の呼吸を推定するための生理的なプロセスをモデル化しました(図2)。これらのモデルにより各林齢における炭素収支を計算することができるようになりました。森林のバイオマスが同じであったとしても、気象条件は年々変動するので炭素収支も変化することになります。本研究で開発したモデルでは、間伐と気象条件による炭素固定への複合的な変化を評価することができます。 収穫調査が明らかにした森林の炭素固定間伐の比較試験が行われているスギやヒノキの収穫試験地(17ヶ所)で、30~71年間のバイオマス成長量を計算しました。生立木のバイオマスは多い順に無間伐>弱い間伐>強い間伐でした。過去の間伐量を加えたバイオマス収穫量では弱い間伐>強い間伐>無間伐林という傾向でした(図3)。また、様々な間伐が行われ林齢も異なる本州各地の収穫試験地(66ヶ所)を分析した結果、無間伐または間伐が不十分の場合、より若い林齢でバイオマス収穫量が頭打ちになってしまうことが分かりました。バイオマス成長つまり炭素固定を促すためには、十分な間伐ができないのであれば短伐期で皆伐・更新を繰り返すこと、伐期を延長するのであれば、弱度間伐を繰り返すことが有利と考えられます。森林の炭素固定能の変動予測に向けて本研究で開発された森林の炭素固定量に対する人為効果(間伐)と非人為効果(環境変化)を区別して評価する手法を、今後、様々な立地条件の森林に応用できるように汎用性を向上させる必要があります。そして長期調査データによる比較検証を進めながら、森林の炭素固定に対する間伐施業の効果と環境要因による効果をさらに解明して、森林による炭素固定能の推定精度の向上を図りながら、気候変動に伴う将来予測に向けて研究を進化させていきます。本研究は環境省地球環境研究推進費「環境変動と森林施業に伴う針葉樹人工林のCO2吸収量の変動評価に関する研究」による成果です。 *炭素固定;材木が光合成によって吸収する大気CO2量から、すべての器官が呼吸によって放出するCO2量を差し引いた値を炭素量に換算したのが、炭素固定量である。 *バイオマス成長;材木の全器官(葉・枝・幹・根)の乾燥重量がバイオマスであり、その一定期間内における増加量をバイオマス成長(量)と言う。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | 乾燥 |
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