長伐期林へ誘導するための間伐の指針づくり

タイトル 長伐期林へ誘導するための間伐の指針づくり
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 梶本 卓也
齊藤 哲
壁谷 大介
飛田 博順
太田 敬之
正木 隆
鹿又 秀聡
荒木 眞岳
福島 成樹
発行年度 2014
要約 短伐期で育ててきた人工林を、これから大径材生産を目指す長伐期林へ誘導するにはどような間伐手法が有効か、高齢林の実態調査と成長モデルを用いたシミュレーションにもとづいて指針づくりに取り組みました。
背景・ねらい 現在、スギやヒノキの人工林は、その多くが40 ~ 60 年生とちょうど主伐期を迎えています。そのうち、ただちに伐採・収穫しない林分については、伐期をさらに延長して、“長伐期林” として適切に管理することが求められています。その際、どのような間伐をすれば期待する大径材の生産が可能になるのかという長期的な施業の指針が必要になります。この研究では、こうした指針づくりのために、目標林型となる高齢林の実態調査と、成長モデルを用いた異なる施業シナリオの下での将来の大径材本数の予測を行いました。また、伐採までの総収支を試算して比較しました。これらをもとに、通常の下層間伐と将来木的間伐という二つの間伐手法を比較して、長伐期施業のための間伐手法に関する指針を作成しました。
成果の内容・特徴

求められる多様な森林施業

スギやヒノキの人工林は、戦後すぐに造成されたものが多く、現在、当初40 ~ 60 年生と想定していた短伐期施業での主伐期を迎えています。日本の林業は、まだ不振から脱却しきれていませんが、植栽時の低コスト化を図って、人工林の皆伐・再造林を進めようとしています。その一方で、間伐などの手入れが不十分なまま、主伐を先送りする林分も多くみられます。こうした人工林を、長伐期林へ適切に誘導するためには、間伐の仕方など、新しい施業の指針が必要です。

樹木の成長は間伐でどれくらい管理可能か

我が国には、江戸から明治時代に植栽された、林齢100 年を超えるスギやヒノキの人工林がまだ各地に残されています(写真1)。こうした今後の目標林型となるような高齢林で、立木の直径や成長量を測定して、過去に行われた間伐の履歴との関係を調べました。すると、高齢林の立木個体の直径には、50 年生頃の立木密度や間伐強度の違いが影響していることがわかりました。例えば、高密度(1600 本/ha)の林で強い間伐(伐採率50%)をしても、残った個体の成長は、当時すでに低密度だった(800 本/ha)林の個体を上回ることはありません(図1)。また、こうした高齢林のデータ解析からは、隣接する個体同士は、平均6~7m 程度離れていれば、互いの干渉を受けずに成長が持続できることがわかり、長伐期林へ誘導する際の本数密度の管理の目安が得られました。

仮想林分と成長モデルでシミュレーション

長伐期林に向けた施業の影響を検討するために、個体ごとの光環境に対応して成長が予測できるモデルを開発しました。20 年後の直径の予測では、7割以上の個体について実測値の30% 以内の誤差に収まりました。このモデルで50 年生の仮想スギ林分が主伐100 年時を迎えた時の大径材本数を予測し、さらに伐採時までの総収支を試算しました(図2)。その際、最初の本数密度やその後の間伐強度・頻度を変えた複数の施業シナリオを設定するとともに、通常の “下層間伐” と、優勢な木を最終的な主伐木に選んでその周囲の個体を早めに伐採する“将来木的間伐” とを比較しました。
その結果、どちらの方法でも、最初に強く間伐した方が、一定の間伐を繰り返すよりも大径材が多くなること、その一方で、主伐時の大径材本数が同じでも、総収支は将来木的間伐がやや上回ることなどが明らかになりました(図3)。

これからの課題

長伐期林へ誘導するための具体的な施業を現場に提案するためには、今回の指針づくりに用いた予測モデルの精度を向上させて、さまざまな間伐手法を想定した施業シナリオでの将来予測を行い、実測データで検証する作業が必要と考えています。

この研究は森林総合研究所交付金プロジェクト「人工林施業の長伐期化に対応した将来木選定の指針策定」の成果です。
図表1 236740-1.jpg
図表2 236740-2.jpg
図表3 236740-3.jpg
図表4 236740-4.jpg
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2014/documents/p6-7.pdf
カテゴリ 低コスト

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