| タイトル | 放射線は樹木にどのような影響を及ぼすのか? |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
西口 満 楠城 時彦 吉田 和正 |
| 発行年度 | 2009 |
| 要約 | 樹木への放射線の影響を明らかにするため、ポプラに放射線を照射した後におこる様々な異常について調べました。また、放射線の照射によって働くDNA修復酵素遺伝子を明らかにしました。 |
| 背景・ねらい | 放射線は、原子力発電や医療、育種の分野だけでなく、私たちの身の周りの様々な工業製品を作るために使われています。しかし、取り扱いを誤れば、放射線は人間や他の生物にとって危険なものになります。放射線を安全に利用していくためには、人間だけでなく様々な生物への放射線の影響を調べることが必要です。そこで、樹木への放射線の影響を明らかにすることを目的として、ポプラに放射線を照射した後に生じる様々な異常について調べました。また、放射線の照射によって働くDNA修復酵素遺伝子の発現特性を明らかにしました。 |
| 成果の内容・特徴 | 放射線により生じる様々な異常ポプラの苗木にガンマ線(放射線の一種)を照射した後、普通の環境に戻して生育させると、照射後4週目頃から異常な葉の形や色のものが観察できます(図1)。また、照射したガンマ線量が少ない場合には、ポプラの成長量は非照射のものに比べて変化しませんが、ガンマ線量が多くなると、成長が遅くなったり、成長が止まったり、あるいは枯れてしまいました(図2)。さらに、ガンマ線照射によって、ポプラのDNAが切断され短くなることも明らかにしました(図3)。DNAは遺伝子の本体であり、長い糸状の構造を持っています。このDNAが破壊されることによって、葉の形や色、成長に異常を引き起こすと推測できます。放射線から樹木を防御する仕組みポプラが枯れる致死放射線量は150~200グレイ(放射線量の単位で、物質に吸収される放射線のエネルギー量を表す。)と推定されました。樹木の中でも放射線に弱いとされるマツの致死線量は5~39グレイという報告があります。一方で、人間が死に至る致死線量は4~7グレイなので、樹木は比較的放射線に強いと考えられます。それでは、樹木は放射線に対してどのような防御手段を持っているのでしょうか? それを探るため、DNA修復酵素遺伝子に着目しました。DNA修復酵素遺伝子とは、放射線などによって傷ついたDNAを修復する酵素の遺伝子であり、その働きによって切断されたDNAが再びつながります。そこで、ポプラからDNA修復酵素遺伝子を単離し、それらの発現特性について調べました。その結果、ガンマ線を照射したポプラではDNA修復酵素遺伝子の発現が増加している、すなわちDNA修復酵素の働きが活発になっていることが明らかになりました(図4)。DNA修復酵素遺伝子の放射線ストレスに対する応答性は、放射線から樹木を守る仕組みの一つと考えられます。このように、放射線によるストレスに対する樹木の防御機構を解明することは、新機能を備えた遺伝子組換え樹木の開発につながります。本研究は、文部科学省原子力試験研究費「放射線による樹木のDNA損傷と修復機構に関する研究」による成果です。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| カテゴリ | 育種 コスト |
| 断層付近の環境ガンマ線スペクトルの空間分布特性 |
| スルメイカ類の需給及び流通・加工構造変化の解明 |
| 学名コードデータベースの作成 |