| タイトル | アジア産マツタケのDNA原産国判別法 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
村田 仁 馬場崎 勝彦 |
| 発行年度 | 2009 |
| 要約 | レトロトランスポゾンと呼ばれるマツタケの進化に深く関わったDNA配列を指標にして、アジア産マツタケの原産国を判別する方法を開発しました。 |
| 背景・ねらい | 食の安全が求められる中で、輸入食材の原産国表示の信頼性確保が重要になっています。マツタケは商業価値の高いきのこですが、人工栽培ができず、野生きのこのみが流通しています。近年、日本で流通するマツタケの95%は外国産であり、関税の施行・適正価格の設定のため、そのトレーサビリティー*管理が求められています。アジア産、地中海沿岸産及び北米産のマツタケは分類学的な種も異なり、きのこの形態からそれぞれ区別がつきます(図1)。しかし、アジア産マツタケは同じ種で、形態もよく似ているため区別が困難です。また、平成18年度の統計によれば、輸入量もアジア産がその大半を占め、中でも中国産は全体の70%を占めます。以上の経緯から、本研究では、アジア産マツタケのトレーサビリティー管理を可能にするDNA*原産国判別法を開発しました。 |
| 成果の内容・特徴 | 私たちは、DNA原産国判別のためにマツタケの進化過程の解析に利用できる「レトロトランスポゾン」というDNA配列に着目しました。このレトロトランスポゾンは、マツタケの染色体におびただしい数で存在することから、マツタケが種として確立していった過程で複製を繰り返しながら染色体*上を転移した、マツタケに特有なDNA配列と考えられています(図2)。今回、マツタケがアジア各地に生息域を拡げながら進化した過程を推定できるレトロトランスポゾン*を見つけ出し、これを指標にしてアジア産マツタケの原産国判別法を開発しました。 今回開発した方法は、農産物の品種判別や環境中の微生物の検査、血縁関係の分析や犯罪捜査など、幅広い分野で使われているPCR*法という簡便なDNA分析方法です。本判別法では、レトロトランスポゾンが集まった領域の長さを指標に用いました。この分析法を使うことにより、試験したマツタケ95菌株で、日本産、韓国・北朝鮮産、中国北東部産、チベット地域産のマツタケを誤判率5%で識別が可能でした。また、極東地域産のマツタケ同士、あるいはチベット地域産のマツタケ同士は類縁性が非常に高いこと、その一方で極東地域産とチベット地域産の間には類縁性が低いことが分かりました (表1、図3、4)。 この成果は、トレーサビリティー管理への応用が可能であり、その結果、輸入品が大きく占める日本のマツタケ市場において、適正な価格設定や品質管理など販売者と消費者との信頼関係、また、関税の公正性の面から、取引相手国と日本国との信頼関係の構築に役立ちます。現在、本成果を検査の現場に役立てていただくために、本判別法の詳細を森林総合研究所ホームページ(http://www3.ffpri.affrc.go.jp/ReNewHP/labs/matsutake/→http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/matsutake/)に公開しています。 *トレーサビリティー;農産物や製品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう。追跡可能性とも言われる。 *DNA;デオキシリボ核酸の略。遺伝子を含む染色体の本体。 *染色体;動植物細胞内の有糸分裂の際に観察される塩基性色素で染まる棒状の構造体。遺伝情報を担う生体物質。 *レトロトランスポゾン;「可動遺伝因子」の一種であり、多くの真核生物のゲノムに存在する。レトロトランスポゾンは、自分自身を複写(増幅)して移動する。レトロトランスポゾンは、しばしば核DNAの主要成分となる。 *PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);DNAを増幅するための技術で次の特徴を持つ。
|
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| 図表4 | ![]() |
| 図表5 | ![]() |
| カテゴリ | 品種 |
| 麦類・大豆の遺伝資源特性情報 |
| 九州で分離されたトマト黄化えそウイルスのNタンパク質のアミノ酸配列の比較 |
| たまねぎ新種子親系統「北見交25号」 |