降水と渓流水の水質データベース「FASC-DB」を公開

タイトル 降水と渓流水の水質データベース「FASC-DB」を公開
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 池田 重人
稲垣 昌宏
金子 真司
高橋 正通
発行年度 2009
要約 全国7地域の森林流域でこれまで観測してきた降水および渓流水の水質モニタリング結果をデータベース化し、森林総合研究所のウェブサイトを通じて公開しました。
背景・ねらい 森林総合研究所では、1990年代から森林に降る雨の性質のモニタリング調査をはじめました。現在、全国の7地域に設定した調査地で、森林に降る雨と流れ出る渓流水を同時に観測しています。
こうして年々蓄積してきた降水と渓流水の水質データは、報告書や学会誌に公表してきました。今回、地点間や年ごとの比較が容易に行えるようデータベースを作成しました。また、大学や公的研究機関の研究者をはじめ幅広く一般の人にも利用してもらうために、モニタリング地点の情報などを加えて、森林総合研究所のウェブサイトを通じて公開しました。データベースを利用することにより、酸性雨などの環境変化やその影響範囲を確認できます。
成果の内容・特徴

データベースの概要

本データベース(森林降水渓流水質データベース:FASC-DB)は、水質観測地点の情報と水質分析データによって構成されています。そのうち、調査地の状況を示す情報として、試料採取地の地名、林小班名、行政区画、経緯度、標高、地質、林齢、最寄の気象観測所の平均気温・降水量などを記載しています。また、データベースの核となる水質データとして、降水(林外雨、林内雨、樹幹流)及び渓流水の水質分析値(pH, EC のほか、Na, K, Ca, Mg, Cl, NO3, PO4, SO4, 濃度など)を収録しています 。このほかに、これまでのモニタリング調査に関連して公表した主要文献のリストを付けています(図1、2)。

データベース公開の意義

日本における降水の水質に関する研究は、これまで都市域を中心に進められてきており、森林域のデータはこれらに比べると少ないのが現状です。また、森林流域における渓流水の水質については、近年各地の大学演習林を中心として研究が進みつつありますが、同じ流域で継続して調査しているところはごく一部に限られます。本データベースは、日本各地の代表的森林流域における長期モニタリングの結果を中心とするもので、森林生態系の物質循環や水問題に関心のある人にとって、森林域の水質に関する基礎情報を提供するものとして重要です。

データベースの利用

本データベースを利用すれば、日本各地に配置した調査地点の継続的なデータから任意のものを得ることができるため、図3の例に示すような経時的解析や広域的解析を行うことが容易になりました。今後もモニタリング調査を継続してデータベースを更新することにより、森林流域の水質変化についての短期的な現象と長期的な傾向をとらえることが期待されます。図4には、最近のデータを加えて台風の影響を解析した例を示しました。
データベースには森林総合研究所のホームページから簡単にアクセスできますが、データを利用するには、ウェブページ上から利用申請を行い、あらかじめ個別のIDとパスワードを得る必要があります。利用許可が得られれば、任意の水質データを選択して分析値を閲覧したり、ファイルをダウンロードして保存することが可能となります。

本成果は、これまでの特定研究および交付金プロジェクト研究による観測データを、交付金プロジェクト研究「森林流域の水質モニタリングとフラックスの広域評価」によりデータベースにまとめたものです。

詳しくは、森林降水渓流水質データベースのページ http://fasc.ffpri.affrc.go.jp/ → http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/fasc/Guide.html をご覧ください。
図表1 212750-1.jpg
図表2 212750-2.jpg
図表3 212750-3.gif
図表4 212750-4.gif
カテゴリ データベース モニタリング

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