タイトル | バラ切り花の花持ちを延長するチャ種子サポニン類と低水温 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 花き研究所 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
今西英雄(東京農大) 山内雄二(大阪大学) 市村一雄 藤原隆広(近中四農研セ) 堀江秀樹(野菜茶研) 木幡勝則(野菜茶研) 乘越 亮(東京農大) |
発行年度 | 2004 |
要約 | チャ種子から調製したサポニン類は、蒸散を著しく抑制するとともに導管閉塞の進行を抑制し、バラ切り花の花持ちを延長する。また、生け水の冷却は細菌の増殖を抑制し切り花の花持ちを延長する。 |
背景・ねらい | バラの切り花では水分収支が悪化することにより花持ちが短縮する。水分収支が悪化する主要な原因は、葉からの蒸散過多と細菌の増殖による導管閉塞である。チャ種子サポニン類は、微生物に対する生育阻害活性があることから花持ちを延長する可能性がある。一方、切り花の花持ちは低温下で延長する。しかし、小売段階や家庭では低温にすることが困難な場合も多い。最近、小売段階で生け水の冷却による切り花の品質保持が図られているが、その科学的な効果についてはよくわかっていない。そこで、チャ種子から調製したサポニン類と生け水の冷却がバラ切り花の花持ちに及ぼす影響を調査する。 |
成果の内容・特徴 | 1. バラ切り花への20mg l-1の濃度のチャ種子サポニン類の連続処理は、花持ちを有意に延長する(表1)。 2. チャ種子サポニン類はバラ切り花の蒸散量を低下させる。サポニン濃度が高くなるほど、蒸散量は低下する(図1)。蒸散の抑制は気孔の閉鎖促進に起因する(データ略)。 3. チャ種子サポニン類は、導管閉塞の指標である茎の水通導性の低下を抑制する(データ略)。 4. 生け水の冷却によりバラ切り花の花持ちは有意に延長し、水温を23℃、15℃および10℃としたときの花持ちは、それぞれ5.2日、6.7日および7.5日となる。また、低水温ほど切り花の新鮮重が増加する期間が長くなり、新鮮重の最大値は大となる(図2)。生け水が低水温でもバラ切り花の花首部分の温度はほとんど低下しない(データ略)。 5. 低水温では茎の導管閉塞の原因となる細菌の増殖が抑制され(データ略)、茎の水通導性の低下が抑制される(表2)。 6. 以上の結果から、チャ種子サポニン類と生け水の冷却はバラ切り花の水分収支の改善により、花持ち延長に効果があると結論される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. バラ‘ソニア’切り花を23℃、相対湿度70%、12時間日長、10μmol m-2 s-1の環境条件下で保持し、得られた実験結果である。 2. チャ種子サポニン類の濃度が50 mg l-1の処理ではバラの葉に薬害が生じた。利用条件によっては薬害発生に注意が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | ばら 品質保持 |